
あなたは、英語のディクテーションの効果とその方法を知りたいのではないでしょうか?
そもそも、ディクテーションとは何なのでしょうか?
英語が上達する方法の1つとして、書籍などでも紹介されているノウハウですが、英語の「シャドーイング」とも比較される方法です。
ディクテーション(dictation)もシャドーイング(shadowing)も、どちらも英語力を向上させるための方法ですが、主な目的が全く異なります。
やり方と効果も全くの真逆なので混乱しないようにしましょう。
後ほど、コツなども詳しく解説しますが、次が主な違いと比較です。
- シャドーイングのやり方と効果:音声のすぐ後ろを影(shadowing)のように付いて発音していく方法で、主にスピーキング力を高めます。
- ディクテーションのやり方と効果:音声を聞いた後に、穴埋めや一英文を丸々書き出すという方法で、主にリスニング力を向上させます。
ようするに、リスニングに自信がないという初心者の方には、ディクテーションをおすすめします。
しかし効果はそれだけではありません。
単語力、発音力、文法力などあなたの弱点を見つけ出すこともできるのが、ディクテーションです。
【目次】
1.英語のディクテーションとは?
・聞き流しの真逆
・シャドーイングとの違い
2.ディクテーションの種類
・穴埋めディクテーション
・全文(一文)ディクテーション
3.レベルチェック!ディクテーションの練習問題
・穴埋めディクテーション練習:短文
・全文(一文)ディクテーション練習:長文(一英文)
4.ディクテーションの効果はリスニングだけ?
・全く聞き取れずに書き出せなかった場合
・音は聞けたが書き出せなかった場合
5.ディクテーションの正しいやり方とコツ
・初心者のやり方とコツ
・中級者・上級者のやり方とコツ
・正しい方法でディクテーションの練習をしてみましょう
6.ディクテーションにおすすめの教材や無料アプリ・サイトなど
・おすすめ無料サイト
・おすすめ無料アプリ
・おすすめ教材(書籍)
・おすすめの映画・海外ドラマ
・NHKラジオ講座テキスト
・TOEIC公式アプリと問題集
まとめ:先ずはディクテーションを始めよう!
1.英語のディクテーションとは?

英語のディクテーションとは、流れてくる英語の音声を主にメモなどに書き取る勉強法となります。
もちろん、他の言語でも同じ勉強法があります。
ディクテーションは英語で「dictation(名詞)」で、意味は「口述を書き取ること」がメインとなります。しかし、「口述(口で述べること)」という意味も含みます。
動詞の「Dictate(ディクテイト)」は、「口述を書き取る」が主な意味となりますが、これも「口述する」という意味もあります。
聞き流しの真逆
聞き流しとは違い、一語一句しっかりと聞くことをし、その後にそれを書き出すので集中力が必要となります。
そのために、英語をシッカリと聞くというリスニング力UPが主な目的となります。
しかし、集中して書き出すことで他の効果も出てくるのですが、それについては後述します。
シャドーイングとの違い
シャドーイングもよく聞く英語の勉強法で音声をシッカリ聞くことはディクテーションと同じですが、音声から少し遅れて「発音」するので、主にスピーキング力(または発音)を鍛えるのが目的です。
また、スピードにもついていく、ある程度の発音力も必要になるので、『英語のシャドーイング|初心者には効果が出ない3つの原因とコツ』でも書いている通り、中級者・上級者向けの勉強法です。
初心者の方は断然、ディクテーションをおすすめしています。
2.ディクテーションの種類
ディクテーションには主に2種類の勉強法があります。
穴埋めディクテーション
初心者の方でリスニングに自信が無い方は、この穴埋めディクテーションをおすすめします。
読んで字のごとしで、全文(一文)を聞いて書き出すのではなく、数か所の抜けている単語を埋めるディクテーションです。
次が例の1つです。
- 音声の英文:She could not go to school because of fever.(彼女は熱で学校に行けませんでした)
- 穴埋めディクテーション:She ( ) not go to school ( ) of fever.
- やり方:上記の ( ) のみを書き出すのが穴埋めディクテーションとなります。
全文(一文)ディクテーション
穴埋めディクテーションが簡単になってきた方は、全文、つまり一英文丸々書き出すというディクテーションをトライした方がいいですね。
ノーヒントで、音声だけを頼りにする真のディクテーション練習となります。
先ほどの例文でいうと、「She could not go to school because of fever.」をそのまま書き出すというトレーニングです。
3.レベルチェック!ディクテーションの練習問題
さて、2種類のディクテーションがありますが、先ずは初歩の穴埋めディクテーションでどれくらい書き取れるのか?から自分のレベルを確認してみましょう。
メモ帳などに書き出してみましょう!
穴埋めディクテーション練習:短文
短い英文の穴埋めディクテーションをトライして下さい。
- テスト音声1:
- 穴埋めディクテーション:Mike ( ) his appointment ( ) me.
- テスト音声2:
- 穴埋めディクテーション: ( ) had a ( ) breakfast.
いかがでしたでしょうか?穴埋めの箇所を書き出せましたか?
穴埋めした全文は次となります。
- テスト1の英文:Mike broke his appointment with me.
- テスト2の英文:We had a hasty breakfast.
上記が正解した、しないに関係なく次の全文、一英文のディクテーションもトライして下さい。
あくまでレベルチェックですのでリラックスして挑戦してみましょう。
全文(一文)ディクテーション練習:長文(一英文)
ここでは、あえて少し単語数が多い長文(一英文)の問題を出題しています。
意地悪問題ではなく、のちにディクテーション効果でこれらの英文も書き出せるようになるという指標になります。
できなくて当たり前!と思ってチャレンジして下さい。
- テスト音声1:
- テスト音声2:
さあ、短文の穴埋めディクテーションと違い長かったですよね?
答えは次となります。
- テスト1の英文:The new digital recorder has the same specs as the old one except for the weight.
- テスト2の英文:We give a 20% discount for reservations made at least three months in advance.
全然できなかった!という方も多いのではないでしょうか?
しかし、それは現時点では同然ですから安心して下さい。
また、これらの練習問題をやって気付いたことがあるかと思います。それらを次で確認してみましょう。
4.ディクテーションの効果はリスニングだけ?
先ほどの練習問題でもわかったかと思いますが、ディクテーションは自分の弱点を見つけるのにとても有効な方法でもあります。
主にリスニング力を鍛えるために「ディクテーション」が取り入れらていまが、それだけが効果ではありません。
また、次のどれに当てはまるかで並行して実践してほしい勉強法があります。そのことでディクテーションの効果が倍増します。
全く聞き取れずに書き出せなかった場合
穴埋めディクテーションでも全く書き出せなかった場合は、リスニングのスピードに付いていけてないのが主な原因です。
後述する単語力、文法力などもあるかもしれませんが、書き出せなかった最初の理由として大きいです。
ディクテーションの練習を重ねることで、スピードについていくリスニング力を鍛えることができますが、並行して、『英語のリスニング力が驚くほど開花する超簡単な勉強法』でもある、「最初の3単語」と「数当てトレーニング」という練習をすることで、英語独特のリズムとリスニングスピードにドンドン慣れていくことができます。
マイスキ英語のYoutube公式サイトでも練習を無料公開しているので、是非トライしてみて下さい。
音は聞けたが書き出せなかった場合
テスト音声は聞けたけど、書き出せなかったという方の理由は様々なあります。
単語力
そもそも単語をしらない場合が多いです。これが弱点という人も多いのではないでしょうか?
しかし、ディクテーションをしながら英単語を吸収することができるのも効果の1つです。
日常英会話、ビジネス英会話と適切な教材を使うことでドンドン単語力を覚えることができるようになります。リスニング力もUPして、単語も覚えるとができる一石二鳥の勉強法なのです。
適切なアプリや教材などについては、後ほどご紹介します。
発音力
発音が弱点な方は音が「カタカナ」に聞こえてはいるけど、英語として書き出せないというのが少なくありません。
音と音が繋がる「リンキング(りえぞん)」や「母音」、「子音」、また単語のストレス、英文のイントネーションを並行して鍛えておくとディクテーションの効果が更に上がります。
発音のルールなどについては、『英語の発音|初心者でもネイティブ並みに話せる矯正練習法』で詳しく解説しているので是非ご確認ください。
文法力
頭から考えながら書き出す時に文型(語順)や基本的な英文法を知らない可能性が高いです。
「あれ?この単語はここの位置でいいのかな?」、「え、この単語は本当にここにくるの?」などディクテーションをすることで、特に英語の並びに強くなってきます。
また、冠詞の「a」がここにはあるはずだ、など。
でも、その感覚を身に付けるまで時間がもったいない!という方は、並行して英文法の勉強もしておくといいでしょう。ディクテーションがみるみる楽しくなるはずです。
そんな方は、『英文法の勉強法|効率的に英語の文法力が身に付く6つの練習とコツ』にもある練習やアプリなどを使ってみて下さい。
5.ディクテーションの正しいやり方とコツ
さて、先ほどはまず練習問題をやって頂きましたが、英語上達のためには正しいディクテーションのやり方があります。
基本は音声が流れてきて、一文が終わった後に、書き起こしたり、その一文が何と言ったかを実際に声に出すやり方です。
書き出すだけでなく、声に出しても構いませんが、現在のレベルによりやり方が多少異なります。
私がおすすめするやり方とそれぞれのコツは下記となります。
因みに、書き出すディクテーションをやる場合は、PCへのタイピングなどよりも手書きの方が単語など記憶に残りやすいです。
また、音に集中したい場合は、イヤホンやヘッドフォンなどを装着した方がベターですね。
初心者のやり方とコツ
英語に自信が無い方は、先ずは意味を全く理解しないで書き出すことに集中して下さい。
やり方の順番は下記となります。これは穴埋めディクテーションも全文ディクテーションも同様です。
- 何も書き取らずに音声を2回聞く
- 3回目の音声の後に書き取る
- テキストと照らし合わせて間違えを確認する
- 何が聞き照れなかった原因なのかをシッカリ検証する ※「スピードに追い付けなかった?」、「単語が分からなかった?」など
正解してもしなくても、必ずその英文を音読するようにして下さい。
詳しい音読の仕方は、『英語の音読|初心者も効果あり!6ステップとおすすめ無料アプリ・参考書』にも書いていますが、初心者には次の2つの音読方法がいいでしょう。
- オーバーラッピング:テキストを見ながら音声と一緒に読み上げる音読
- リピーティング:テキストを見ながら音声の後に読み上げる音読
これを復習として繰り返すことで、新しい英単語なども脳に定着しやすくなります。
またこの他に初心者がディクテーションを実践する際の注意点として、スペルは気にしないということです。
聞いた単語のスペルが分からないでも、最初は全く気にしないでください。
あくまでこの段階では、リスニングする英語耳を鍛えるもので、スペルを気にしていては、追い付かないし、書ききれません。
よって、カタカナやひらがなでも大丈夫です。
そして、どうしても音声のスピードに合わせて書き出そうとしてしまいがちです。
聞いた後は、自分のペースでディクテーションして下さい。
慣れてくれば、頭の中で記憶した英語を何度でも同じスピードで復唱しながら書き出せるようになってきますが、それには慣れも必要になります。
中級者・上級者のやり方とコツ
初級レベルのディクテーションが問題なくできるのであれば、ここでのやり方を実践してみて下さい。
- 1回目の音声の直後に意味を考えながら書き取る ※この際にはスペルにも注意を払いましょう。
- 同じ音声は聞かない
- テキストと照らし合わせて間違えを確認する
- 何が聞き取れなかったのか原因なのかをシッカリ検証する ※「スピードに追い付けなかった?」、「単語が分からなかった?」など
初心者のやり方との大きな違いは、音声は1回のみということと、意味をシッカリと理解しながら書き取るという2つのポイントです。
上手くできない時は、同じ箇所のディクテーションをしてしまいがちですが、それは避けて下さい。
英文を記憶するのはいいのですが、丸々暗記になるケースがあるので、上手くディクテーションが出来た、出来ないに関わらず、違う英文をどんどんこなしていきましょう。
また、その後の学習として初心者向けには2種類の音読をおすすめしていましたが、ここでは、「リテンション(retention)」という方法をご紹介します。
リテンションとは、「保持」や「記憶」という単語で、聞きた英文を暗記して、そのまま何も見ないで暗唱するトレーニングです。
その時に、音声スピードに合わせるように発音してみて下さい。
この方法は「リピーティングのテキストを見ないバージョン 」だと思って下さい。多少、脳にも負荷がかかりますが、英語独特のリズムなども身に付くのでとても効果のある方法です。
上述しましたが、書き取る場合に日本人が苦手な発音のスペルに注意してみて下さい。日本人が苦手な音である、F、V、TH、Rの4つの音のスペルだけは間違わないようにチャレンジしてみて下さい。
Think(思う)をSink(沈む)、Vase(花びん)をBase(基礎)と書かないという感じです。全く意味が異なる英文になるのでその点も気にしながらディクテーションをしましょう!
正しい方法でディクテーションの練習をしてみましょう
それでは、ここでご紹介した正しい方法で再度先ほどの練習問題を使ってトレーニングしてみましょう。
短文(初心者向け)
長文(中級者・上級者向け)
6.ディクテーションにおすすめの教材や無料アプリ・サイトなど
さて、これまで英語のディクテーションのやり方や効果などについて説明してきましたが、それには適切な教材がないと成立しません。
またその教材選びの際に注意してほしいのが、初心者の方はまず「アメリカ英語」に集中することです。
『イギリス英語とアメリカ英語|文法や発音など4つの違い』でも書いていますが、イギリス英語とスペルも発音も多少異なるので、両方をこなすのはとてもハードルが高いです。
世界的に見ても主流はアメリカ英語が一般的という背景もあるので、先ずはそれ一つに絞りましょう。
また、洋楽が好きだからと言って英語の歌は意味がありません。それは会話の英語のリズムではないのでディクテーションの目的には向いていないので避けて下さい。
おすすめ無料サイト
ディクテーションに最適な無料サイトがありますので2つご紹介します。
英語リスニング無料学習館というサイトがありますが、そこの「無料リスニング問題一覧(短い英会話編)」がおすすめです。日常会話が中心なのでその単語なども覚えることができます。
短い350問も掲載されているので初心者もディクテーションをドンドン挑戦することができます。
もう一つは、スピーチ、トーク番組、洋楽など和訳付きの英語学習者のための動画を見付けることができる、VoiceTube(ボイスチューブ)というサイトです。
映画やTOEIC勉強用などのジャンル、初級・中級・上級とレベルに合わせた動画を検索できます。
おすすめ無料アプリ
やはり、すぐにでもディクテーションを始めたいならアプリが便利です。
初級者には「ディクトレ-ディクテーション特化の英語リスニング学習アプリ-」というアプリがおすすめです。
スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツなど著名人の演説などの動画が見れる「TED」のアプリ版の「TEDICT」がありますが、ビジネス英語が多いなどの特徴もあるので中級者・上級者向けになります。
おすすめ教材(書籍)
こちらはアマゾンなどのネットで購入できる有料の教材となります。
初めてディクテーションをするのにじっくり教科書的な書籍が欲しいという方におすすめです。
下記の2つが有名でおすすめです。
おすすめの映画・海外ドラマ
楽しみながらディクテーションをするには好きなドラマや映画を使うのも一つのコツですね。
しかし、あくまで一英文ごと停止してディクテーションをすることになるので少し面倒です。
それでも、何も興味が湧かない英文で勉強するよりはいいと思われている方にはおすすめです。
『英語の勉強|映画や海外ドラマは初心者にも効果あり!おすすめ17選』でもおすすめしていますが、DVDなどのレンタルよりNetflixやアマゾンプライム、Huluなどの動画サイトを利用するととても簡単です。
または、先ほどご紹介した「VoiceTube」もご活用ください。
比較的易しい単語が使われている日常会話が多い「フルハウス」や「フレンズ」などのドラマや「ホームアローン」などの映画、また子供向けの「ニーモ」などのディズニー映画や「トトロ」などのジブリ映画などもおすすめです。
話し言葉が少ない「アクション」や非現実的の「SF」、難しすぎる「法律関連」のドラマや映画はなるべく避けるようにしましょう。
NHKラジオ講座テキスト
レベル別で使う表現が異なっており、また再放送などもあるのでスキマ時間に効率的に聞くことが出来るNHKラジオ講座もディクテーションにはおすすめです。
『TOEIC満点者おすすめのNHK英語講座と2つの勉強法』で番組別で放送時間などを掲載していますが、どの番組でもそれぞれのテキストが存在します。
最寄りの駅の書店などで気軽に購入することができますので、一度確認してみましょう!
また、慣れてきたら上級者向けにはなりますが、NHKニュースなどのディクテーションもいいでしょう。
TOEIC公式アプリと問題集
TOEICテストでも高得点を取りたい方の場合は、TOEIC公式アプリと問題集のリスニングセクションの問題をディクテーションにも活用できます。
特に、初心者には英文が短いTOEIC Part1とPart2の音声を使うことをおすすめしています。
それそれの購入やダウンロードについては下記の専用サイトをご参照下さい。
まとめ:先ずはディクテーションを始めよう!
ディクテーションは、頭の中で英文を自然と復唱するので、それだけでも英語独特の発音やリズムを植え付けてくれます。
今まで速いと思っていた英語のスピードにも徐々に慣れてくるはずです。
焦ることなく、出来れば毎日2~3英文でいので、スタートして下さい。
「期間・勉強時間=英語上達」ではありません。正しい方法で継続することが大切です。
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