英語での「多読」の効率的なやり方を知りたいですか?
それよりそもそも多読とはどんな学習法なのか、多読にはどのような効果があるのか分からない方が多いのではないでしょうか。
英語力、または英会話力をUPするには、読む・聞くの大量のインプットは必然となります。
インプットがないのに、アウトプットは実現しないのが英語だけに限らず、全ての言語に共通しています。
多く聞く(多聴)のインプットの効果や方法については、『英語の「聞き流し」で効果を出す!6つの勉強法とおすすめ無料教材』で解説しています。
因みに、「多読」は英語で「extensive reading」と表現します。
形容詞の「extensive(イクステンシヴ)」は「広範囲の・広い」という意味なので、「多読」をイメージしやすいですね。
目次
「多読」とは?やり方・コツは?
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多読とは「量」にこだわって多く(大量)の英語を読むという、リーディングの方法です。
声を出す「音読」と声を出さない「黙読」のどちらでも構いません。
かと言って、別に難しく考える必要はありません。
好きな英文(文章)を辞書を引かずにドンドン読むというイメージでOKです。
テストの問題を解くわけでもなく、単語を暗記するわけでもない、英文法を勉強するわけでもなく、ただ英語を読むだけなのですがポイントがいくつかあります。
やり方の手順とコツは下記となります。
- 多読用の教材を準備する ※レベル別のおすすめ教材は後述します。
- 和訳せずに英語を英語のまま「イメージ」しながら読む
- 知らない単語があっても辞書を引かずに読む
- 英語の語順で、読み返さずにドンドン先に進んで読む (繰り返して読まない)
- 飽きたり、つまらなくなったら他の教材を試す
1つの教材に固執するのではなく、飽きてきたり楽しくなかったりしたら、別の多読用の参考書やサイト、アプリなどを準備するのがコツの1つです。楽しく、そして英語力を高めてくれるおすすめの教材については後述します。
ようするに、日本語の新聞や小説、雑誌などをスラスラ読んでいるイメージです。
初心者の方の読むスピードは、ゆっくりでも自分のペースで読むということで全然構いません。
しかし慣れてきたら、180wpm(1分間に180単語)をターゲットにすると、ネイティブとほぼ同じ読む速度になります。
それと「多読」と真逆にあるのが、「質」を重視して、一語一句意味を調べて読む「精読」というのがあります。精読は、専門性の高い論文などの時には必要となりますが、初心者にはあまり向かない勉強法です。時間と労力が半端ないので、英語初心者が継続できずに挫折する可能性が高いためです。
よって「精読」は、基本的に上級者向きの勉強法だと思って下さい。
さて、上述にした「イメージしながら読む」、「辞書を引かない」、「読み返さない」は、TOEICテストや受験英語の長文読解の練習でも必要な要素です。それを多読にそのまま応用します。
それぞれのコツなどについて詳しく知りたい方は、『英語の長文読解力|勉強法と6つのコツやおすすめ参考書・無料アプリ』も確認して下さい。
しかし、それらを実現するには最低限の英単語と英文法が必要なのは分かりますね。
特に初心者はこの部分を知らずに多読を初めてしまうと、途中で投げ出す確率が高くなるので注意しましょう。
多読と同時進行でも構いませんので、必ずそれらの取得は意識して下さい。
多読を始める前に必要な英単語は?
多読を成功させるのに、前提として必要な単語数はあなたの英語レベルと使う教材により異なります。
レベル別のおすすめの教材については後述します。
初心者
初心者はまず、日常会話レベルの単語を知っておくと多読の時にとても便利です。
例えば、一英文の中で90%ぐらいわからない単語があれば、いくら多読しても全く意味が分からないのは容易に想像できますね。これでは、楽しくもないですし、続きません。
辞書を引かないリーディングが多読なわけですから、ある程度の意味を理解しながら多読をしないと効果がありません。
先ずは、『英語習得と英会話が上達!初心者に必要な285英単語と文法』でもある、中学1年レベルの英単語が土台となります。
それと、日常会話を理解するには1200単語(中学校で取得する単語)前後あれば十分だと言われてます。
それらを習得するには、「毎日の英単語 日常頻出語の90%をマスターする」という本と「mikan」という無料アプリがおすすめです。
いきなり多読をするよりは、これらの単語にスキマ時間でもいいのである程度触れてからスタートすることをおすすめします。
中級者・上級者
初級レベル以外の方は、ビジネス英語など、『ビジネス英語フレーズ|絶対に押さえておきたい8つのコツと勉強法』にあるような少し難しい英文の多読に挑戦して下さい。
日常会話と違って、ビジネス英語は最低でも5000単語必要だと言われていますが、それを覚えてからでは時間がもったいないので、多読と並行しながら習得するようにしましょう。
それにはやはりビジネス英語のTOEICの単語に触れることがスタートとしていいでしょう。
こちらもスキマ時間に触れるのが無理なく勉強を継続するコツとなります。
「TOEIC presents English Upgrader」という公式アプリがあるので是非ご活用ください。
多読を始める前に必要は文法は?
頭からスラスラ読み返さずに読むには日本語と英語の基本的な違い、つまり「語順(文型)」感覚を身に付けるのが大前提となります。
これが英語力がどのレベルでも必須となります。
初心者
この語順感覚を先ず習得することです。
この文法的感覚がないと、読み返しを繰り返すはめになってしまいます。これはリスニングで頭から聞きながら理解するという効果にもつながるものです。
語順には主に次の5つがあります。
- 第1文型「SV」
- 第2文型「SVC」
- 第3文型「SVO」
- 第4文型「SVOO」
- 第5文型「SVOC」
「S」は主語、「V」は動詞、「O」は目的語、「C」は補語となります。
英語は頭に重要な情報がきるのですが、日本語はその逆で、最後に重要な情報がきます。
これらの違いを先ずシッカリと『英語の5文型(語順)の見分け方・例文と簡単マスター勉強法』の記事を参考にして叩き込みましょう!
中級者・上級者
語順感覚は問題なくある!という初級レベル以外の方は、その他の英文法を身に付けることで、多読もやりやすくなります。
しかし、難しい英文法を覚える必要はなく、中学校で習う次のような英文法で問題ありません。
- 名詞(可算・不可算・複数)
- 形容詞(名詞や主語との関係)
- 動詞(不規則動詞など)
- 受動態(be動詞+過去分詞)
- 能動態(受け身からの言い換え)
- 助動詞(canやwillなど)
- 副詞(形容詞との違い)
- 前置詞(inやwithなど)
- 接続詞(becauseやwhenなど)
- 不定詞(to+動詞の原形)
- 代名詞(主格、所有格、目的格など)
- 関係代名詞(2つ以上の文の結合)
- 同級、比較級、最上級(betterやmostなど)
- 時制(現在完了や過去完了など)
それらをマスターするのも、無料アプリで十分です。
『英文法の勉強法|効率的に英語の文法力が身に付く6つの練習とコツ』でも紹介している下記の2つがおすすめです。
通勤・通学中などの時間を有効活用しましょう。
「An Instant Reply」
「イングリッシュセントラル」
さて、基礎を身に付けてドンドン英語を読むだけの多読には、その後どのような効果をもたらしてくれるのでしょうか?
英語の多読の効果は?
英語の多読にはどのような効果があるのでしょうか?
とその前に、多読には声を出す「音読」と、声を出さない「黙読」があるとお伝えしましたが、特に初心者は自分のペースで読んで構わないので、余裕があれば「音読」することで更に効果がUPします。
口や耳、目など五感の多くを使うので、『英語の音読|初心者も効果あり!6ステップとおすすめ無料アプリ・参考書』にも書いていますが、英単語やフレーズの記憶力が、黙読に比べると向上します。
では、一般的な多読の効果を見ていきましょう。
予測して読むことが出来るようになる
知らない単語があっても、辞書を引かずにドンドン進めることで、「予測せざるを得ない」状況になります。
英語の辞書を頭に埋め込んで、全ての英単語を覚えることは不可能です。だからこそ、この予測リーディングは英語上達には絶対に必要なり、その感覚を身に付けることができます。
単語や文法(語順など)が定着しやすくなる
これは黙読でも十分可能です。
例えば、多読する教材がハリーポッターのシリーズであれば、同じような単語や表現が必ずと言っていいほど出てきます。何度も出てくる単語はイメージしやすく、またスムーズに自然と脳に刻まれていきます。
また、頭からドンドン読み進めることで、これも自然と英語の語順や基本的な文法を身に付けているようになります。
英語を英語で捉える「英語脳」でイメージながら読めるようになる
『英語脳の作り方|3つの勉強法・期間や教材とアプリの活用など』でもおすすめしていますが、多読をすることで日本語が全く出てこなくて(和訳をしない)、英語を英語として理解できるようになります。
つまり、イメージで理解しているという脳の状態ですね。まさに、ネイティブが英語を読んでいる状況と全く同じとなります。
英語を読むスピードが速くなる
上述のいくつかの効果があるという事は、必然的に英語を読む速度が上がるということです。
今まで、TOEICのリーディング・セクションや受験の長文読解で「時間が足りずに時間切れした」という経験はありませんか?
多読の勉強法を繰り返すことで、英語を読むこと自体の抵抗がなくなり、英語を英語で理解しているので読み返さなくなるので、もうそのような悩みは完全に解消されていきます。
リスニング力がUPする
上述していますが、予測して理解する、頭から英語の語順で理解する、イメージしながら理解する、という点はリスニングにそのまま効果を発揮します。
英語の多読で実践した感覚をリスニングの勉強時に活かすことで英語の総合力も上がっていくのがイメージできますね。
英語の多読におすすめの無料アプリ・サイト・教材(本)など
さて、多読のやり方、また効果は分かったのですが、それを実践、実現するにはどのような教材がいいのでしょうか?
むやみやたらに何でもいいというものではありません。
自分のレベルに合った、そして楽しいもので理解出来るものでなければ継続できません。
初心者レベル向け
英語にまだ自信がない人は、次のような多読の方法とサイト、教材などをおすすめします。
多読に必要な目安の単語数など初級レベルの方は考えなくて結構です。まず、英語を読むということに慣れましょう。
また、多読する本や教材に音声が付いているなら、音声を聞ききながらテキスト(スクリプト)を一緒に音読や黙読することもおすすめしています。
比較的簡単に多読を進めることができます。
「漫画(アニメ)」の英語版・字幕
さて、一つ目のおすすめ教材は、漫画(アニメ)です。
株式会社KADOKAWAが運営する「コミックウォーカー」という無料で漫画が読めるサイトです。
好きな漫画、知っている漫画を英語で読むことで多読として勉強できます。
また、「Amazon(アマゾン)」でも「漫画名+英語版」のキーワードで検索すると簡単に英語の漫画本を探すことができます。
しかし、注意してほしいのが、日本語の文言(セリフ)をそのまま英訳してないケースが多い点です。なので、完全な英訳とされていないのでその点は留意しておいて下さい。
また、漫画で同様に効果的な多読としての教材が、ディズニーや「トトロ」などのジブリ映画のアニメです。
それらの字幕やスクリプトを多読に利用することもできます。
『英語の勉強|映画や海外ドラマは初心者にも効果あり!おすすめ17選』でも紹介していますが、下記のデータベースではほとんどの映画のスクリプト(台本)があるため、映画の俳優や音声の真似をしながら音読することも可能です。
「日本のニュース」の英語版
社会人の方で、ニュースなどであればTOEICテストにも役立つし、ビジネス英語も身に付けたたいという方は日本のニュースを英語にしてある無料サイトを多読に活用しましょう。
CNNやBBCなど海外の記事を読んでも意味が分からない可能性が高く、特に初心者にはハードルが高いです。
だから、日本のニュースを中心に書いてある英語サイトに限ります。
しかし、続けるには興味ない記事を読んでも意味がありません。例えば、あなたがサッカーに興味があれば、サッカーの記事に絞って多読するのも
ここでは、2つのサイトをおすすめしています。
「The Japan Times」
https://www.japantimes.co.jp/
「The Japan News」
https://the-japan-news.com/
「好きな著名人」のSNSなど
好きな俳優やスポーツ選手のツイッターやブログでも構いません。絶対に長文である必要はありません。英語を読むという慣れるにはいいかもしれません。
しかし、スラングや略語も多いため不慣れな表現があるケースがあるのでその点は注意しましょう。
youtube動画のコメント欄などもありますが、それらの単語や文法が正しいのか不明ですので、ある程度英語力が付いてからの勉強法としてはいいかもしれません。
中級・上級者レベル向け
中級レベル以上はある程度の文字数を意識して多読をしてみましょう。
大体1年間で、100万単語ぐらいが目安と言われています。
1ページ400文字として、2500ページ。例えば小説で、300ページが一冊として、10冊弱ぐらいがその基準となります。
ジャンルを問わずに色々な本を多読することをおすすめします。
PCやスマホなどどの端末でも読むことが出来るアマゾンが提供する「Kindle Unlimited」(キンドル・アンリミテッド) などであればどこでも本、雑誌、小説などが読み放題なのでとても便利です。
下記で無料で読める対象の本などを探してみましょう。
また、上級者になるとハリーポッターなどのイギリス英語とアメリカ英語と区別せずに読むこともおすすめします。好き嫌いは関係なく、小説でもビジネス英語などにもどんどん多読していきましょう!
ビジネス英語に関しては次の2つがおすすめです。
「TED talks」様々な分野に関する講演を無料で見れる音声とスクリプトがあります。各動画の「Transcript」というタグをタッチすると英語のスクリプトが表示されます。
「VOA Learning English」はアメリカのニュースがスクリプト付きで読めるのでおすすめです。レベル別になっています。
「TED talks」
https://www.ted.com/talks?language=ja
「VOA Learning English」
https://learningenglish.voanews.com/
まとめ:英語の多読を継続させるにはコツが必要!
最後となりますが、子供(小学生まで)は文字のない絵本でCD付きのものなどから始めるのが良く、多読は基本的に不要です。
本を読むという習慣を身に付けさせたりするには、アマゾンなどで探せる星の王子様(ラダーシリーズ)などがおすすめです。
多読の唯一のデメリットは文字だけになるので、ここでご紹介した音声とスクリプト(または、字幕)の両方での実践がベストです。
これは、リスニングの時に、英語を文字化しないためです。
英語の多読は正しいやり方と正しい教材を使えば、英語上達には欠かせないノウハウ・コツになります。
多読を長続きさせるには、続けるコツが必要です。特に初心者の方は自分が興味があるもの、そしてできれば音声付きで真似しながら音読すると、リスニング力やスピーキング(発音)も同時に鍛えるということができます。
しかし、何度もいいますが、理解することも大切ですが、それよりもドンドン先に進める意識が多読には大切です。是非、今日からトライしてみましょう!
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