空港で活躍されている「グランドスタッフ(GS)」。
日本語で「地上職(地上事務職)」という表現をされることが多いですね。
パイロットやCA(キャビンアテンダント)のように飛行機内が主なお仕事とは違い、チェックインカウンター、ゲートなど地上での会話が必要となる職業が「グランドスタッフ」。
国内線でも国際線でも海外旅行者が多い日本では、「おもてなし」の窓口としてとても重要な役目を担っています。
そしてかつてはCAが人気の的でしたが、「プロとして働いている仕事姿がカッコいい」などグランドスタッフの人気が急上昇しています。
だからこそ、グランドスタッフへの就職・転職が狭き門となっているのも事実です。
就職・転職のポイントで日本人を苦しめているのが「英語力」。
上述でもありますが、羽田・成田空港、地方空港など、国内線・国際線に関係なく、外国人を英語でおもてなすことは必須のスキルとなっています。
私個人的な意見ではありますが、外国人と英語でペラペラ話しているグランドスタッフを見かけると日本人としても誇らしく思ったりするものです。
逆にCA(キャビンアテンダント)の機内でのアナウンスの発音の悪さ(日本語訛りでほとんど通じてないと思います)や外国人との会話に、「もっとこうすれば発音が上手くなり、会話もスムーズになるのになあ、もったいないなあ・・・」ということが毎回飛行に乗る度に多い印象ですね。
私の生徒さんにも今現在数名のCAさんがいますが、先ずは徹底的に発音を矯正しています。この件(発音矯正など)については、また別の機会で解説したいと思っています。
それと、人工知能(AI)チャットのChat GPTやGeminiを使ったグランドスタッフ接客英語の勉強法なども紹介していますので、参考にしてみて下さい。
目次
「グランドスタッフ」は和製英語じゃない!?
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『通じない和製英語一覧|起源や正しい英語と159問クイズ!』でも解説していますが、日本には外国人に通じない和製英語がたくさんありますが、「グランドスタッフももしかしたら和製英語かも?」と思われた方もいらっしゃるでしょう。
グランドスタッフの英語はそのまま「Ground Staff(短縮形:GS)で通じます。
冒頭でもお伝えしたように、「地上職(地上職員)」を指します。
より的確に空港の地上職員と言いたい場合は、「Airport Ground Staff」としてもOKです。
また、「Ground Crew」という表現もあります。
「crew(クルー)」は「乗務員・仲間・隊」などの意味があります。
しかし、厳密に言うと「地上職」なので整備士(mechanic, technician)などもそれに含まれていることは念頭に置いておきましょう。
昔は、グランドホステス(ground hostess)を現在のグランドスタッフのように使っていましたが、その単語自体(hostess)が女子職員と限定され、今は性的差別の観点からスタッフ(staff)を使うようになりました。
これは、「policeman」と男性を指す警察の用語も「police officer」という表現に置き換えられているのと同じ現象です。
グランドスタッフに必要な英語力はどれくらいのレベル?
さあ、グランドスタッフに必要な英語力はどれくらいあればいいのでしょうか?
しかし、グランドスタッフと言っても日本国内(日系で国内線・国際線)なのか、また国外での勤務(外資系など)により違いはありますが、基本的に次の英語力が最低条件と言われています。
※しかし、日系航空会社のように入社後に英語力を求められる(勉強してTOEIC何点を取得する必要があるなど)というところもあるようですが、いずれにしても英語力は必須と言うことですね。
- 英検2級以上
- TOEIC600点以上 ※国際線であれば、730点以上あるのが望ましいです
正確な換算は出来ないのですが、英検2級はTOEICでも600~700点以上のレベルと言われていて、ビジネスでは最低限の英語力と言われています。
外資系で国外での勤務となると、最低でも英検準1級以上、またTOEIC860点以上は最低限の英語力として身に付ける必要がありますね。ネイティブに近い英語力で会話が出来ることが求められます。
※海外で日系航空会社のグランドスタッフという選択肢もあるのですが、その際も同様の英語力は必要でしょう。
英語力のレベルを計るには、『TOEICのレベル|点数(スコア)で実力と目安が分かる!』も参考にしてみて下さい。
参考として日系大手の2社(JAL,ANA)の詳しい募集要項・条件(英語力を含む)を下記にて確認してみましょう。
- JAL(日本航空):https://www.job-jal.com/
- ANA(全日空):https://www.ana.co.jp/group/recruit/
グランドスタッフになるには英語の面接対策が必要不可欠?
さて、新卒でも転職でもグランドスタッフで採用されるには英語の面談があるのでしょうか?
外資系はもちろんのこと、実は日系航空会社でも、書類通貨、一次面接通過した方は英語面接が一般してきているようです。
しかし、簡単な自己紹介などが出題されるようですが、今後もグランドスタッフの競争率は激しくなる一方です。よって他人よりアピールしたほうがベターですので、ある程度の対策が必要と考えた方がいいですね。
また、特に外資系であれば履歴書も英語で提出するのが普通になるので、書き方なども知っておくと役立ちます。
それぞれに参考になるサイトを用意していますのでご活用ください。
- 英語での面接対策:『英語で面接|絶対に覚えておきたい厳選フレーズ集』
- 英語での履歴書の書き方:『英語の履歴書|7つの基本の書き方・例文やテンプレート付き』
グランドスタッフに欠かせない接客英語例文その1.チェックイン
ここでは、チェックインカウンターでグランドスタッフがよく使う基本となる表現をご紹介します。最低限押させる必要があるフレーズです。
パスポート・目的地の確認
搭乗者がチェックインカウンターに来た際の基本的な対フレーズは下記となります。
- May I see your passport, please?(パスポートを見せて頂けますか?)※「May I」を使うことで丁寧な表現としています。
- Where are you flying to today?(どちらまでの便ですか?)※これを上記の「May I」を使い、さらに丁寧な言い方もできます。「May I know where you are flying to today?」となります。また、「Where is your final destination?」という言い方もできます。「destination(デスティネーション)」は「目的地」という意味です。
預け荷物の確認
預ける荷物があるかの確認もルーティーンとしてありますね。また、危険物などが入っていないかの確認も重要です。
- Are you checking any luggage?(預ける荷物はありますか?)※「luggage(ラギッジ)」を「baggage(バギッジ)」に、またはもっとカジュアルに「bags(複数形)」にして表現しても問題ありません。
- Do you have any fragile or flammable materials inside your bag?(預け荷物の中に、割れ物や可燃物などは入っていませんか? ※この質問の際には、預け荷物で禁止、または申告する必要がある危険物をパンフレットなどを見せながら問いかけるのが一般的です。その際は、「Do you have any items listed here in your lauggage?(ここに記載されているものが預け荷物の中にありますか?」などのフレーズでも大丈夫です。
搭乗券の発券・座席確認と挨拶
搭乗券をお客様に渡す際にもルーティーン的な英語フレーズがあります。
- Here is your boarding pass.(こちらが搭乗券になります) ※複数の場合は、「Here are your boarding passes.」となります。
- You are in Row 35 and seat D, which is an aisle seat.(座席は30列目のDで、通路側となります) ※「aisle(アイル)」が通路側で、「window」は窓側の席を指します。また、「row(ロー)」は列を意味する単語です。
- Your flight leaaves from gate 12 and boarding time will be 11:45(ご出発するゲート番号は12で、搭乗は11時45分からです) ※ここの表現はゲート、搭乗開始時間を伝えることができるフレーズであればOKです。leaveをdepartに代える、また「boarding will begin at ~」など。
- Enjoy your flight!(よい旅を!) ※「Have a nice flight!」や「You’ll have a nice trip.」などでも構いません。
グランドスタッフに欠かせない接客英語例文その2.アナウンス
飛行機の離陸やボーディングの遅れ、ゲートの変更、優先搭乗など様々なアナウンスが空港では飛び交っていますね。それらでよく使われている最低限の表現をご紹介します。
基本的には「Good morning,passengers(ご搭乗の皆様、おはようございます)」や「May I have your attention, please?(お知らせいたします)」、また「Ladies and gentlemen」などの挨拶を冒頭に言うのが一般的です。
搭乗手続きの案内
- This is the pre-boarding announcement for ANA flight 123 to Hawaii.(こちらは全日空ハワイ行き123便の優先搭乗のご案内です) ※航空会社名、便名、行先をしっかり伝えるようにします。
- Now we are inviting passengers with small children and those who require special assistance to board at this time.(小さなお子様連れ、また搭乗に際してサポートが必要な方を今現在お呼びしております) ※「require(リクワイア)」は「need」よりフォーマルな単語です。
- ANA flight 123 to Hawaii is now ready for check-in for all passengers. Please proceed to gate 12.(全日空ハワイ行き123便はただいま、全てのお客様にご搭乗頂けます。搭乗ゲート12番までお越しください) ※「proceed(プロシード)」は「進む」というフォーマルな単語です。
- This is the final boarding call for ANA flight 123 to Hawaii.(こちらは全日空ハワイ行き123便の最終搭乗のご案内です) ※「call」を「announcement」に代えてもOKです。
遅延・搭乗ゲート変更の案内
- ANA flight 123 to Hawaii has been delayed due to ~.(~の影響で全日空ハワイ行き123便は遅延が発生しております。)※「due to ~」は「because of ~」のフォーマルと捉えて下さい。「bad weather(悪天候)」や「machine trouble(機械トラブル)」などその要因を当てはめることができます。また、その後に「Please kindly wait for our next announcement.(次のアナウンスまでお待ちください)」の言葉を添えるといいでしょう。「kindly」(どうか)という単語を入れるだけで丁寧になります。
- For passengers on ANA flight 123 to Hawaii, your boarding gate has been changed to 25.(全日空ハワイ行き123便の搭乗者のゲートが25番に変更されました) ※「25」という数字を強く2度ほど連呼しても問題ありません。
現役グランドスタッフ・志望者必見!英語勉強法やアプリなど
応募資格として、先ず最低条件の英検2級、TOEIC600点以上ですが、実際に聞いて話すという英会話ができないと意味がありません。
これに苦しんでいるグランドスタッフやCAは実に多いです。
特に現役のグランドスタッフは「使える英語」を習得してそれを活用しないと意味がありません。
TOEICや英検の資格はあくまでの指標や採用されるためのものであり、聞く・話す能力とは別次元と考えてと取り組んだ方がベターです。
これからグランドスタッフに就職・転職される方で英検2級、またはTOEIC600点が無い方はそちらに集中したほうがいいです。
現役グランドスタッフのための英語勉強法
専門用語、またビジネス的な丁寧な英語を使う必要があります。
専門用語はすでに英語のものが多く単語をつなぎ合わせれば何とかなるレベルの方は多いかと思いますが、要は「相手に失礼のない英語での対応ができるか?」がポイントです。
また、とっさの質問にも答えることができる「対応力」が必要になります。
これには挨拶から細部にわたるところまで永寧なビジネス英語と瞬発力が必須となります。
航空会社から渡されたマニュアルの英語フレーズを丸暗記するのもいいのですが、日ごろからこのビジネス英語に慣れておくことで自然とどのような場面で使うのかなどを習得することができます。
通勤や就寝前などのスキマ時間でも十分ですので、その場合にはアプリが大変便利です。
また、どうしても日本語訛りの英語になり、相手に通じないと意味がありません。発音とスピーキング能力を同時に伸ばすと一石二鳥です。
下記のアプリなどを参考にしてみて下さい。
- ビジネス英語と対応力向け:『英語・英会話・TOEIC勉強におすすめの無料アプリ10選』
- 発音に自信がない方向け:『英語の発音|無料で練習!8つの人気おすすめアプリ・サイトで上達』
グランドスタッフになりたい方向けの英語勉強法
これからグランドスタッフになりたいとう方(就職・転職志望者)は、先ずは最低条件の「TOEIC600点」、または「英検2級」を取得することを優先させる勉強がベストです。
採用の面接対策などは、その後でも問題ありません。
今現在英語に自信がない方でも、対策次第で結果が大きく異なります。TOEICと英検では対策が異なるため、次の記事を参考にしてみて下さい。
- TOEIC600点対策:『TOEIC勉強法|初心者でも大丈夫!600点のレベルと対策』
- 英検2級対策:『英検2級のレベルと対策|効果が出る勉強法と面接のコツ』
Chat GPTやGeminiなどのAI(人工知能)チャットサービスを使ってグランドスタッフの接客英語をマスターしよう!
しっかりとグランドスタッフの接客英語を覚えて使いこなせるようになるのに、人工知能(AI)のチャットサービスもおすすめです。
例えば、次のようなプロンプト(命令文)を入力するだけで、クイズのようなトレーニング問題などをどんどん作ってくれます。
- 「英語初心者ですが、グランドスタッフになりたいと思っています。絶対に必要な英語フレーズを50個下さい。」
- 「現役のグランドスタッフです。トラブル時の英語のやり取りが不得意です。トラブルを想定したトレーニング問題を20個ほど下さい。」
など。
まさしく、会話をしながらお願いする感覚でOKです。
この人工知能(AI)のチャットサービスにより、このような確認やトレーニングが容易に可能になっています。この機会に試して下さい。
また、AIチャットサービスで有名なのが2つあります。
一つは「Chat GPT」です。OpenAIが2022年11月に公開した人工知能チャットボットであり、生成AIの一種で、無料版と有料版がありますが、確認やトレーニングは無料版で十分です。
また、もう一つはGoogleが提供する「Gemini」です。
Chat GPT、Geminiのどちらも素晴らしい機能を提供しており、自分に合ったチャットサービスをご活用下さい。アプリもあるので気軽にスマホやタブレットでも使えます。
まとめ:グランドスタッフで英語が出来ないは将来ゼロになる!
過去に採用された方などは英語力が無くてもよかった時代がありましたが、これからは国内線・国内線に関係なく、英語が話せるのが当たりまえになるのもそう遠くはないでしょう。
プレゼンテーションや論文を発表するぐらいの英語力は必要ないのですが、接客での「丁寧なおもてなし英語」は絶対です。
また、各国の色々な訛りがある英語のリスニングにも慣れておく必要がありますね。
近い将来、もっと多くのグランドスタッフが英語がペラペラで対応することで日本の印象もさらに良くなるものです。是非、その一人として貢献できるように今の機会に英語をマスターしておきましょう!
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