
あなたは、THの発音が苦手で、どのようにしたらネイティブのように自然に発音できるのか悩んでいませんか?
しかし、THの発音そのものが、日本語にはない音なので、悪戦苦闘するのはあなただけではありません。
2066年までに「TH」の発音が無くなることで、「D」や「F」などに置き換わるという文献もあるくらい、外国人には難しい発音ということです。
移民の人たちが、「Thank you(テンキュウ・Tに近い音)」、「This(ディス・Dに近い音)」などで発音するケースはとても多いです。
多くの日本人がTHの発音が出来ないからと、SやDの発音に置き換えて発音しているケースも多くありますね。
例えば、Thank youを、Sank you「サンキュー(カタカナ読み)」と発音する場合です。
因みに、イギリス英語で河口域英語(Estuary English)というのがありますが、「TH(Thank)」を「f(Fank)」と発音をするケースもあります。
しかし、正確には、「Thankに使うTH」(無声音)と、「Thisに使うTH」(有声音)という2つTHが存在します。
見分け方は簡単で、発音記号を見れば簡単に違いが分かります。
「θ」(Thank)と濁った「ð」(This)というふうに全く違います。
基本となる「θ」と「ð」の2つの音の違いは、『英単語・英語発音記号|日本人が不得意な記号の読み方25選』でも詳しく説明していますので、ご参考下さい。
下記がその発音記号の例です。
- 「θ」(無声音):thank(θˈæŋk)
- 「ð」(有声音):this(ðís)
また、「thank」や「this」のように単語の頭にあるのか、または最後にあるのか「birth(bˈɚːθ)」や「with(wìð)」のように最後にあるのかでも発音の仕方が多少異なります。
それと、「birthday(bˈɚːθdèɪ)」や「father(fάːðɚ)」のように単語の真ん中にあるケースもありますね。
また、「TH(無声音の場合)」を「S」に発音することで、違った意味になるパターンもあります。
後ほど他のケースも書きますが、次がその例です。
など。
これに関しては後ほど詳しく解説していきます。
TH発音はなぜ難しい?サンキューじゃだめ?

THの発音は、「R」と同じように、日本人にとって、難しいですよね。
THの発音が難しい理由は主に二つあります。
- 日本語に存在しない音:THの音は、日本語の音には存在しないため、日本人にとっては馴染みがありません。日本語では、舌の先を歯茎に当てる「さ」のような音はあるものの、舌の先を歯と歯茎の間に挟んで摩擦音を発するTH音(例:「think」や「that」のような音)は存在しません。このため、日本人がTH音を正確に発音するのが難しくなります。
- 練習不足:日本人が英語を学ぶ際、TH音に対する練習が不十分である場合があります。発音練習が十分に行われないと、日本人はTH音を正確に発音する能力を習得することが困難になります。また、英語の発音練習に取り組む際に、日本語に似た音に置き換えてしまうことがあります(例:「think」を「シンク」と発音する)。
日本語にない音、カタカナ英語にしてしまう癖、が主な理由でですね。
既に日本語のようになっている「Thank you」を「サンキュー」と言っていることが日本人のTH発音の習得を妨げています。
しかし、ここでご紹介する練習によって、TH音の発音を向上させることは簡単にできます。
THは舌を噛んではいけない?歯並びも関係する?
「TH」の発音というと、「舌の先を歯で噛んで発音する」というイメージがあるかと思います。
日本語にはない発音ですから、癖付けとしてはシッカリ舌を歯で噛むというのはアリです。
しかし、実際に「TH」発音する時にシッカリ噛んでいては音が出ないですよね?どこにも空気(息)が通る隙間が無いわけですから。
「TH」は「摩擦音」と言われています。
つまり、舌先と上の歯の隙間から音(息)が摩擦しながら出るというイメージです。
2種類あるTHの発音記号(ズとズ)
これは、濁らない「θ」(無声音)と濁る「ð」(有声音)でも同様です。
摩擦音を出すには、「舌先を軽く上の歯に触れるイメージ」で出す感じです。または、軽く舌を上の歯と舌の歯で挟む意識でOKです。
少しここで実際に発音してみましょう。舌の位置は同じです。
- 濁らない「θ」の発音(無声音)・・・日本語の「サ・シ・ス・セ・ソ」を軽く舌を歯で挟んだままで発音してみて下さい。
- 濁る「ð」の発音(有声音)・・・日本語の「ザ・ジ・ズ・ゼ・ゾ」を軽く舌を歯で挟んだままで発音してみて下さい。
これだけでも違いが分かるはずです。まず、これが基本の「TH」の発音の仕方だと覚えておいてください。
THを発音しやすい歯並びってあるの?
因み、私の生徒の質問でもあったのですが、出っ歯や歯並びが悪いと正しい「TH」の発音ができないかのようなイメージがあるかもしれませんが、私は多少出っ歯です(笑)。
でも、ちゃんと発音できるので大丈夫ですよ。自信を持ってこの記事の最後でお伝えする発音練習で習得しましょう!
特定の歯並びが、TH音を発音しやすくする可能性がありますが、発音は歯並びだけでなく、筋肉の動きや発音練習にも関係しています。
したがって、歯並びが良いからといって必ずしもTH音が簡単に発音できるわけではありません。
コツを習得すれば簡単にできるのが「TH」の発音となります。
特殊な発音の「th」:clothes
単数形のcloth(服、布)の発音記号は、「klɔ́ːθ」と濁らない「th」の発音ですが、これが複数形になると「th」の音が無くなるといった特殊な発音の単語が、複数形の「clothes」です。
「clothes(衣類)」は「Z」の発音?
洋服など会話の中でよく使う「clothes」ですが、「th」があるのに、「klóuz」と「Z」の発音になります。
THの有声音でも無声音でもまりません。また、「クロージーズ」とはならないので注意して下さい。
実は「閉める」の「close(クローズ)」と同じ発音記号なんです。
綴り(スペル)だけ見ても発音が判断しにくいケースで、迷った時は辞書などで発音記号を確認するほうがいいですね。
THの発音には3種類の舌の動き(仕方)・口の形がある!「S」との違いも
基本的な舌の位置や発音の仕方は分かったかと思います。
しかし、それだけでは正しい「TH」の発音はできません。
どういうことかと言うと「TH」の発音は、出すか引くかの簡単な舌の動きによって発音できるようになります。
下記のように、THの発音の時の舌の位置ばかり気にしすぎて、この舌の動きを無視しているがために、正確なTHの発音が出来ないのです。
因みに「S」の発音は、舌の先がどこにも触れていない状態ですね。
頭にあるTH(Thから始まる)の発音のコツ(英単語一覧)
素早く舌を引くことで、THがネイティブのように発音できるようになります。
濁らない「θ」(無声音)と濁る「ð」(有声音)、両方とも同じです。
次の動画で確かめてみましょう。
(動画内容)
They, Think, Thursdayにある頭のTHの発音での舌の動きの解説となります。
THから始まる英語の単語や表現は、約6000程あるとも言われています。
下記がその一例です。中学英語レベルでも多く存在します。無声音と有声音に分けています。
無声音(例:「think」のような音):
- thin
- think
- thing
- thought
- through
- thrill
- throw
- thumb
- thunder
- thousand
- thread
- three
- throat
- thankful
- therapy
- theory
有声音(例:「that」のような音):
- the
- this
- that
- these
- those
- them
- there
- their
- they
- then
- than
- though
- therefore
要するに、この発音をマスターするだけで、それだけ多くの英語の正しいTHの発音を身に付けているのと同然となるのです。
英会話で欠かせない発音のやり方ですので、ここでシッカリとマスターしておきましょう。
後ろ(語尾)にあるTHの発音のコツ(英単語一覧)
舌を出しながら歯の間に軽く挟むだけで、正しいTHの発音になります。
ようするに、頭にTHがある発音の舌の動きとは正反対です。
それでは、次の動画で確かめてみましょう。
(動画内容)
With, South, Mouthのように後ろにTHがある場合の舌の位置です。頭にあるTHの場合と全く異なる舌の動きになります。
THの発音で終わる英語の数は、頭にある場合と比較すると少ないのですが、英語の数字で何番目や日付で使う(序数)、fifth(5番目、5日)やeleventh(11番目、11日)、mouth(口)、earth(地球)、south(南)、north(北)、teeth(歯/toothの複数形)などのように日常的に使う場面で多く登場します。
よって、後ろにあるTHも絶対に無視できない発音となります。
しかし、ここで注意してほしいのが、「with(一緒に/前置詞)」や「breathe(息をする/動詞)」などの濁る、有声音の「ð」の場合です。この場合は、多少の摩擦音を出すこともありますが、頭にある「TH」とは違い、大きな音は出さないのがコツです。
下記が中学レベルでの単語の例です。
無声音(例:「bath」のような音):
- bath
- cloth
- health
- teeth
- moth
- path
- growth
- youth
有声音(例:「bathe」のような音):
- bathe
- breathe
- with
真ん中にあるTHの発音のコツ(英単語一覧)
さて、最後に少し舌の位置が異なるパターンが「TH」の発音が単語の真ん中にある場合です。
例えば、「birthday」、「healthy」、「father(mother,brother)」などです。
この場合は、無理に上の歯に舌の先を軽く当てなくても、上の歯の裏に舌の先を当てながら発音する感じでも構いません。
真ん中に「TH」がある場合は、その方が発音しやすいですが、破裂音の「d」にならないようにしましょう。
下記が中学レベルでの単語の例です。
無声音(例:「bathroom」のような音):
- bathroom
- toothbrush
- toothpaste
- mathematics
- author
有声音(例:「leather」のような音):
- leather
- father
- mother
- brother
- either
- weather
- gather
- rather
- another
- southern
THを発音する時の口の形や動き
TH音を発音する際の口の形には、いくつかの特徴があります。
TH音には、無声音(例:「think」のような音)と有声音(例:「that」のような音)の2種類がありますが、どちらの音も発音する際の口の形には共通点があります。
- 口を軽く開く:TH音を発音する際、口は軽く開いた状態になります。口を閉じすぎると、舌の動きが制限され、TH音を正確に発音できません。
- 顎をリラックスさせる:TH音を発音する際、顎をリラックスさせることが重要です。顎が緊張していると、舌の動きが制限され、発音が難しくなります。
無声音と有声音の違いは、声帯の振動によるものであり、口の形自体は基本的に同じです。
恥ずかしいTHの発音(カタカナ発音)
特に、TH「θ」(無声音)の発音が出来ないからといって、Sの発音に置き換えただけで、全く違う意味になる場合があります。
つまり、カタカナ英語です。
これは冒頭でも説明していましたね。
実は、Thank youの発音をSank you(サンキュー)に置き換えたケースでも本当は恐ろしい意味に変わっているのです。
- Thankは、〜に感謝する
- Sankは、Sink(沈む、沈める)の過去形
Thank you(ありがとう)をSank youに発音してしまったがために、本当の意味は「あなたを沈めた」となっています。
もちろん、会話の状況などにより、意図しない意味に100%取られるとは言い切れませんが、それくらいの違いがあることを認識しておいて下さい。
他の例でも確認してみましょう。
「TH」を「S」で発音したら全く違う意味になる!
口(mouth)を怪我をしたのに、家にいたネズミ(mouse)が怪我をしたように誤解して伝わる可能性もゼロではありません。
あなたが恥をかく前に、しっかりとTHの発音を身に付けましょう。
THの発音練習(日本人が苦手なRの発音なども!)
さて、THの発音のコツ、また必要性が分かったかと思いますが、やはり練習が一番THの発音を上手にしてくれます。
オリジナル練習と早口言葉
ここでご紹介するTHの発音トレーニングを、口ずさみ継続して実践することで、自然とTHの舌の動きがマスターできます。
それでは、次の練習動画を確認してみましょう。
(動画内容)
1.頭にあるTHの発音:They think Thursdayを連続して発音して、これを3回繰り返して1セット
2.後ろにあるTHの発音:With South Mouthを連続して発音して、これを3回繰り返して1セット
また、動画にはありませんが真ん中にある「TH」の「Birthday Mother Healthy」も同じようにトライして下さい。
最初うちは、舌の動きがスムーズにはなりません。それが普通です。
1日各1セットだけでもいいので、THの発音トレーニングを口ずさみながら癖づけしていきましょう。
また、THの発音を矯正するのに有名な早口言葉もあります。慣れてきたら是非、トライしてみましょう!
- I thought a thought, but the thought I thought wasn’t the thought I thought I thought. (私は考えたと思ったけど、考えたと思った考えは、私が考えたと思った考えではなかった)
- The thirty-three thieves thought that they thrilled the throne throughout Thursday. (33人の泥棒たちは、木曜日中、王座をわくわくさせたと思った)
- They say that these things they sell there are thoroughly worthwhile. (彼らは、そこで売られているこれらのものは完全に価値があると言います)
日本人が苦手なRなどの発音練習
また、日本人が不得意なのは「TH」だけではありませんよね。「RとL」、「V」、「F」も日本人の発音を悩ませます。
それぞれの練習法やコツについては、次の各記事を参考してみて下さい。
TH発音の豆知識
最後になりますが、冒頭でもご紹介しているTHの豆知識についてご紹介します。知っておくことで英語勉強の役に立てるかと思います。
アメリカ英語とイギリス英語に違いはある?
アメリカ英語とイギリス英語にはアクセントやイントネーションに違いはありますが、THの発音に大きな違いは基本的にありません。
舌や口の動きも同様です。したがって、アメリカ英語とイギリス英語の間でTHの発音を学ぶ際に大きな調整をする必要はありません。
しかし、冒頭でもお伝えしたように、イギリス英語の方言の1つ(Estuary English)で、「TH(Thank)」を「f(Fank)」と発音をするケースもあります。
アメリカ英語とイギリス英語の違いについては、『126個!イギリス英語とアメリカ英語の違い|文法・発音・単語・スペルなど』の記事をご参考下さい。
20thなどのthの役割と意味・何の略?
後ろにあるTHでも出てきた、序数のTH(8thや20thなど)は何の略なのでしょうか?
実は、序数における「th」は、特定の単語の略語ではありません。
むしろ、それは序数を表すために基数に追加される接尾辞です。この接尾辞は、順序やランキングを示すために使用されます。
「th」は、英語の序数を形成するための接尾辞であり、単語そのものを略しているわけではありません。例えば、「7th」は、「seventh」(7番目)、「15th」は、「fifteenth」(15番目)を表します。
よって、英会話で相手に正しく伝えるためにも、THの発音は重要なんですね。
ThisやThatはDの発音?
冒頭でも将来、THの発音が「D」の発音に置き変わる可能性があると言いましたが、実は今でもスラング的に、THを「D」で発音するネイティブもある地域ではいるようです。
“This”や”That”のTHをDで発音する場合、通常の英語の発音とは異なりますが、文脈によっては相手に通じることがあります。
しかし、標準的な発音とは違うため、相手によっては変な発音と捉えられる可能性があるので注意が必要です。
やはり、現時点では正しいTHの発音が好ましいということですね。
まとめ:舌の動きがキーワード! THの聞き取りにも挑戦しよう!
舌の位置が正しくても、その動きが伴っていなければ、正しいTHの発音は難しいですね。ネイティブのような3つのTHを自然と身に付けるには大事な、大事な要素だと認識して下さい。
あとは、それを継続することだけ。
Thank youを「サンキュー」や Myth(神話)をmiss(ミス)と発音している自分自身を恥ずかしいと思える日が直ぐそこにあります。
また、リスニングでの「TH」の聞き分けも大切になってきますね。その場合は、ディクテーションという勉強法を実践し、その中でシッカリとTHを聞き取れているのかを確認できます。
発音の練習に多少余裕が出てきたら、是非、『英語のディクテーション|初心者でも効果あり!2つのコツとおすすめ教材』を参考にして練習してみて下さい。
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