
英語で「受動態(受け身)」は、「pasive voice」と表現します。
受動態を簡単に説明すると、「(主語が)~される」という受け身の文になります。
英語でよく出てくる受動態ですが文法が曖昧な人も多いのではないでしょうか?また、どんな場面で使うのか、よくわからないと言う方も多いはずです。
しかし、実は受動態はそれほど難しくありません。
目次:
0.受動態(受け身)の意味
1.英語の「受動態(受け身)」の基本形
例文その1.「open」を使った能動態と受動態
例文その2.「draw」を使った能動態と受動態
2.英語の「受動態(受け身)」の時制
2-1.基本の受動態
2-2.進行形の受動態
2-3.完了形の受動態
2-4.受動態の時制の例文
3.英語の「受動態(受け身)」の否定文
4.英語の「受動態(受け身)」の疑問文
4-1.疑問文の基本
4-2.WHを使った受動態の疑問文
5.英語の「受動態(受け身)」を使う文のパターン
パターン1:行為をした人が明確ではない場合
パターン2:話題の主役が決まっている場合
パターン3:主語が長すぎる場合
パターン4:話に一般性を持たせるテクニック
0.受動態(受け身)の意味
受動態は受け身の文です。
受動態の反対は能動態で英語では、「active voice」と表現しますが、通常の能動態の文の場合は、「A(主語)はBを~した」で、行為をしている側を主語にして文を作ります。
受動態の文は「BはAに~をされる」という意味でAではなく行為をされた側のBを主語にして文を作ります。
例文を確認してみましょう。
- 能動態:彼女はこの絵を描いた。
- 受動態:この絵は彼女によって描かれた。
- 能動態:犬が私を噛んだ。
- 受動態:私は犬に噛まれた。
- 能動態:先生が私に英語を教えた。
- 受動態:私は先生から英語を教わった。
このように能動態の主語と目的語を、受動態では入れ替えて「~された」という意味になります。
1.英語の「受動態(受け身)」の基本形
受動態の基本の形を確認してみましょう。
受動態の基本形は下記となります。
- 「主語 + be動詞 + 過去分詞 + by 行為をした人(物)」
※「by」以下は省略することが可能です。
過去分詞として分かりやすいのが、「動詞の原形+ed」です。
- 聞く:listen(原形)→listened(過去形)→listened(過去分詞)
- 見る:look(原形)→looked(過去形)→looked(過去分詞)
- 好き:like(原形)→liked(過去形)→liked(過去分詞) ※eで終わる場合は動詞の原形+dです。
しかし、日常的に使う多くの動詞は不規則動詞というもので、下記のように単語自体が変わります。
- 食べる:eat(原形)→ate(過去形)→eaten(過去分詞)
- 切る:cut(原形)→cut(過去形)→cut(過去分詞)
- なる:become(原形)→became(過去形)→become(過去分詞)
このような、不規則動詞などは、『英語の動詞|2種類ある動詞の基本と使い方・活用方法』でも紹介しているので一度は目を通しておくと役立ちます。
例文その1.「open」を使った能動態と受動態
- 能動態:彼はそのドアを開けた。 → He opened the door.
- 受動態:そのドアは彼によって開けられた。 → The door is opened by him. ※受動態にする時は目的語のthe door(行為をされた側)を主語にして文をつくります。
例文その2.「draw」を使った能動態と受動態
- 能動態:彼女は絵を描く。 → She drew the picture.
- 受動態:この絵は彼女によって描かれた。 → The picture was drawn by her. ※ここでも、能動態で行為をされた側のthe pictureを主語にします。
このように、受動態は能動態の行為をされる側を主語にして、「be動詞+過去分詞」をつければ基本はOKです。
2.英語の「受動態(受け身)」の時制
受動態で過去などの時を表わす方法はとても簡単です。通常のbe動詞を使った文と基本ルールは同じです。
2-1.基本の受動態
下記が受動態の基本となります。
- 現在形:主語+ am/ is/ are + 過去分詞 → 「~される」
- 過去形:主語+ was/ were + 過去分詞 →「~された」
- 未来形:主語+ will be+ 過去分詞 →「~されるだろう」
2-2.進行形の受動態
be動詞の後に「being」を置くだけでOKです。過去分詞をing形にしてしまわないように要注意です。
- 現在進行形:主語+ am/ is/ are + being + 過去分詞 → 「~されている」
- 過去進行形:主語+ was/ were + being + 過去分詞 → 「~されていた」
2-3.完了形の受動態
完了形は「have been」を使います。過去分詞はそのままです。
- 現在完了形:主語 + have / has + been + 過去分詞 → 「~されている」
- 過去完了形:主語 + had been + 過去分詞 → 「~されてしまってた」
- 未来完了形:主語 + will have been + 過去分詞 → 「~されてしまっているだろう」
2-4.受動態の時制の例文
実際の例文を見てみましょう。例文をそれぞれの時制に変えます。
※1つの文を全ての時制に当てはめると、時制によっては意味に無理があるものもありますがここでは文の変化の形だけ確認してください。「ドアは彼によって開けられた。」を基本として変えています。
- 現在形:The door is opened by him.
- 過去形:The door was opened by him.
- 未来形:The door will be opened by him.
- 現在進行形:The door is being opened by him now.
- 過去進行形:The door was being opened by him.
- 現在完了形:The door has been opened by him.
- 過去完了形:The door had been opened by him.
- 未来完了形:The door will have been opened by him.
3.英語の「受動態(受け身)」の否定文
受動態の否定文は「be動詞」を否定形にするだけです。
受動態の否定文の基本形は下記となります。
- 「主語 + be動詞 + not + 過去分詞 + by 行為をした人(物)」
※by以降は省略可です。
例文は次の通りです。
- 受動態の肯定文:The book was written by a famous writer.(この本は有名な作家によって書かれました。)
- 受動態の否定文:The book wasn’t written by a famous writer.(この本は有名な作家によって書かれていません。)
「受動態の否定文はbe動詞を否定形にする」と覚えればOKです。
「have」を使った受動態・完了形の文は例外ですが、これも通常の完了形と同じ否定文の形です。文中のhaveを否定形にするだけでOKです。
- 受動態の肯定文:The TV show has been watched by many people.(このテレビ番組は多くの人に見られています。)
- 受動態の否定文:The TV show hasn’t watched by much people.(このテレビ番組はそれほど多くの人には見られていません。)
4.英語の「受動態(受け身)」の疑問文
受動態の疑問文も基本の疑問文の作り方と同じです。
「be動詞」を主語の前に置けば疑問文にすることができます。回答も「be動詞の疑問文」と同じです。
4-1.疑問文の基本
受動態の疑問文の基本形は下記です。
- 疑問文:「be動詞 +主語 + 過去分詞 + by 行為をした人(物)」
- 回答:「Yes, 主語 be動詞.」/「No, 主語 be動詞+not.」
※by以降は省略可で。
例文を確認してみましょう。
- 受動態の肯定文:The house was built by my grandfather.(この家は私の祖父が建てました。)
- 受動態の疑問文:Was the house built by my grandfather?(この家は私の祖父が建てた物ですか?)
- 回答:Yes, it was.(はい、そうです)/ No, it wasn’t.(いいえ、違います)
4-2.WHを使った受動態の疑問文
「What」、「when」、「how」などの疑問詞を使った疑問文も、受動態でも基本的には基本の疑問文の作り方と同じです。
疑問詞を使った受動態の疑問文の基本形は下記です。
- 「疑問詞 + be動詞 +主語 + 過去分詞 + by 行為をした人(物)」
※by以降は省略可です。
例文も見てみましょう。
- その1:When was the University of Washington established?(ワシントン大学はいつ設立されましたか?)
- その2:What was drawn in the picture?(その絵に描かれているのは何ですか?)
5.英語の「受動態(受け身)」を使う文のパターン
文をわざわざ受動態にする場合には何か理由があることがほとんどです。
受動態を使う代表的なパターンがあるので確認しましょう。
パターン1:行為をした人が明確ではない場合
大昔に作られた建物などは誰が建てたか明確ではありません。また、不特定多数の人がしている行為なども行為者は明確ではありません。その場合に、受動態を使うことがあります。
- 例文:The machine was invented in Kyoto.
- 和訳:その機械は京都で発明されました。
この文では誰が発明したのか明確ではありません。機械の場合、多くの人が複合的に関わって発明される場合があります。そのような場合、能動態にすることで、あえて行為者を書かなくてすみます。そうすることで、本来伝えたかった「京都で発明された」という事実を読み手に的確に伝えることができます。
- 例文:The Statue of Liberty was built in 1886.
- 自由の女神は1886年に建造されました。
この場合も、自由の女神は沢山の人によって作られていて行為者は明確ではありません。
パターン2:話題の主役が決まっている場合
話題の中心の人、物が決まっている場合に話題をそらさないために、受動態を使う場合があります。
例えばエジソンの伝記を書く場合、主人公はエジソンです。文中で、基本的には主語がエジソンになります。エジソンがした行為もありますが、逆にされた行為もあります。された行為を能動態にしてしまうと、主語がエジソンではなくなります。
そうなると、主語が何度も入れ替わることになり。誰が主人公なのか、何について話しているのかがわからなくなってしまいます。そのようなことを避けるため、主語を統一するのですが、された行為の場合は能動態にすることで、エジソンを主語にすることができます。
パターン3:主語が長すぎる場合
英文の主語はなるべく短くすっきりさせて、頭でっかちにならないようにするという暗黙のルールがあります。
そのため、主語にあたる部分が長くなってしまう場合は、受動態に変えて主語を入れ替えることによって頭の部分を短くすることができます。
- 能動態:My friend who is international student from India taught me about his country.
- 和訳:インドから来た留学生の私の友人が、彼の国について私に教えてくれた。
この文は「My friend who is international student from India」が主語で、かなり長いですよね。そこで受動態にすると主語が短くすっきりした文になります。
- 受動態:I was taught about India by my friend who is international student from India.
- 和訳:私はインドから来た留学生である友人にインドのことを教えてもらいました。
この受動態はどうでしょうか?日本語で読んでもすっきりした文ですよね。
パターン4:話に一般性を持たせるテクニック
テクニックとして受動態を使うパターンがあります。
日本語でも「一般的に~と言われている。」ということがありますが、「~といわれている」「~されている」というような受動態の文にすることで、行為者が明確ではなくなるので、話しに一般性がでて、広く行われている行為のように聞こえます。
あえて、分や会話の中で受動態を用いてこのテクニックを使う場合があります。
下記がその例文となります。
- 例文:It was said that Japanese food is healthy.
- 日本食はヘルシーだと言われている。
まとめ:英語の受動態(受け身)は基本を押さえれば簡単!
受動態の文法と使うパターンをご紹介しました。
受動態は「be動詞+過去分詞」が基本です。
時制、否定文、疑問文も、能動態とそれほど大きな差はありません。
文章を書く時に、主語が長い場合、主役が決まっている場合など、的確な場面で受動態を取り入れることができたら、それだけで文章のレベルが格段にアップします。
ここで、ご紹介した受動態を使うパターンを少し意識してみてください。