米国公認会計士(USCPA)の資格を取得しようと考えているが、意味ないと言われることを聞く人もいるでしょう。
ですが、外資系企業を始めとしたグローバル企業においては、USCPA取得者は多くのオファーがあり、世界でよく認知されている国際ビジネス資格の一つです。
ここでは、何に対してUSCPAは意味がないのかを知り、USCPAを取得することで役立つメリットをご紹介します。
目次
米国公認会計士(USCPA)は意味がないと言われる5つの理由
USCPAは意味がないと言われる理由は大きく5つあります。
USCPAは「公認会計士よりレベルが低い」ので意味がない?
米国公認会計士(USCPA)試験の合格率は、公認会計士や簿記1級の合格率が10%未満に対して、USCPAの合格率は日本人のみでは30%、さらに全体では50%前後です。
米国公認会計士、公認会計士、簿記1級の合格率比較
会計資格 | 合格率 |
簿記1級 | 10%未満 |
日本の公認会計士 | 10%未満 |
米国公認会計士(USCPA) | 50%(全体) 30%(日本人のみ) |
このことから、
・公認会計士や簿記1級の資格を取得するよりも簡単
・USCPAの試験は難易度が低い
という日本人の偏差値的な思考や観点から「難関資格=意味ある」「レベルが低い=意味がない」と言われてしまいがちです。
米国公認会計士(USCPA)の難易度と偏差値
詳しくは、『米国公認会計士(USCPA)と簿記1級の難易度の違いは?他資格ランキング比較』で、USCPAや他の資格の難易度比較を紹介していますが、
資格名 | 偏差値 |
公認会計士 | 69~77 |
米国公認会計士(USCPA) | 61~72 |
FP1級 | 56~58 |
宅地建物取引士 | 55~59 |
※各情報によって差があるため幅を持たせています
USCPAの難易度よりも数字上は低い資格でも十分仕事に有利に働く資格が多々あることをおわかりになるかと思います。
まずは、「難易度が低い=意味ない」ではなく、各個人の状況に応じて、その資格本来の意味をとらえることが大事です。
USCPAは「海外の会計資格」だから取る意味ない?
もちろん、米国公認会計士(USCPA)の資格を得ても、日本の公認会計士と同じ業務ができるかというと、そうではありません。
USCPAは、日本の公認会計士資格とは違い、日本での会計監査業務の提供ができず、会計監査以外のアドバイザリー業務などを行うことが考えられます。
つまり、日本の公認会計士に求められる仕事をする場合、USCPAの資格では会計監査業務ができない点で意味がないということです。
逆に言えば、それ以外の業務で財務・会計・経理の幅広い仕事を求めている外資系企業などのグローバル企業もあるため、定義によって意味がないとは言えなくなります。
米国公認会計士と日本の公認会計士の違い
以下に、米国公認会計士と日本の公認会計士の業務内容の主な違いを示した表を示します。
項目 | 米国公認会計士 | 日本の公認会計士 |
---|---|---|
業務内容 | 財務諸表監査およびコンサルティング | 税務や財務コンサルティングなど幅広い業務 |
監査報告書の種類 | 直接監査報告書(Unqualified Opinion),条件付き監査報告書(Qualified Opinion),保留意見監査報告書(Adverse Opinion),重大な不合意事項がある監査報告書(Disclaimer of Opinion) | 個別財務諸表の監査報告書, 取締役会報告書の監査報告書など |
監査の目的 | 財務諸表に基づいて企業の財務状況を評価する | 財務諸表以外の業務に関しても含め、会社の経営状況についてアドバイスをすることもある |
監査報告書における説明 | 財務諸表の正確性について合理的な保証を提供する | 監査対象の範囲, 監査の方法, 監査基準, 監査期間などを説明する |
規制機関 | 米国公認会計士協会(AICPA)および公認会計士試験委員会(NASBA) | 会計検査院および日本公認会計士協会 |
試験要件 | 4部構成の試験(Auditing and Attestation, Business Environment and Concepts, Financial Accounting and Reporting, and Regulation)および経験要件 | 4部構成の試験(簿記論、財務諸表論、税法および商法、監査論)および実務要件 |
継続的な教育要件 | 年間40時間の継続的な教育要件 | 年間20時間の継続的な教育要件 |
米国公認会計士(USCPA)の受験資格がある人、ない人
米国公認会計士(USCPA)の受験資格については、以下の条件を満たす必要があります。
米国公認会計士(USCPA)の受験資格 | |
学位要件 | 単位要件 |
・4年制大学を卒業している ※在学中や高卒・短大卒でも受験可能な州もある | ・会計単位・ビジネス単位を一定数以上取得していること |
なお、USCPAの受験資格の詳細に関しては『【大卒/高卒】米国公認会計士(USCPA)の受験資格と各要件』を参考にしてください。
USCPAは「国内企業の就職・転職で有利じゃない」から意味がない?
上述のとおり、企業が日本の公認会計士の会計監査業務の場合は、USCPAの資格では意味がないということが考えられます。
ですが、USCPAの取得者は、米国に本社を置くような外資系企業やグローバル企業などの会計業務では、就職・転職に有利に働きます。
米国公認会計士(USCPA)の年収・給料
例えば、USCPA取得者の転職・求人先を見ても、『米国公認会計士(USCPA)の年収は高い?独立・外資系転職後の年収は?』の記事でもお伝えてしているとおり、
企業 | 仕事内容 | 想定年収 |
監査法人 | 財務諸表監査、内部統制監査、金融商品取引法に基づく内部統制監査(J-SOX)、金融アドバイザリーサービス、その他証明業務など | 600~1000万 |
会計事務所 | M&A実務支援、Financial Advisory Service、組織再編・IPO・企業再生コンサルティング、企業・無形財産等評価サービスなど | 800~1200万 |
会計コンサル | 統合デューディリジェンス、統合戦略・方針立案支援、スタンドアロン・セパレーションコスト分析など | 500~1000万 |
総合商社の経理財務 | 決算・税務関連業務、営業グループの会計業務、国内外事業会社や海外現地法人での管理業務など | 500~1500万 |
※企業によって想定年収に違いがあります。
など、外資系企業をはじめ、高い給与でハイクラス求人を求める企業も多く、USCPAを取得していることによって、就職・転職の際に有利に働くケースもありますし、仕事の選択肢が広がります。
USCPAはグローバル企業や経理・財務部門のキャリア形成に有利
よって、
・外資系企業やグローバル企業で働きたい
・会計事務所やコンサルティングファームで働きたい
・総合商社の経理・財務部門で働きたい
・将来、海外で働きたい
というような人には、USCPAの人材が不足していることもありますし、キャリア形成に有利に働きます。
また、USCPAだけではなく転職や外資系に有利な英語の資格を学びたい場合は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。『おすすめの英語資格一覧|11種類の難易度やレベル比較とランキング』
「未経験」「実務経験がない人」は使えない資格だから意味がない?
全く異業種である社会人が、USCPAの資格だけを取得してキャリアチェンジにトライしたとしても、経理・財務・会計などの実務経験なしでは、業界への転職は難しいと言われることから意味がないと言われます。
もし、目的自体が「日本国内で経理・財務・会計の仕事をしたい」という場合であれば、まずは、簿記1級や公認会計士などを取得し、実務経験を積むことを優先した方が有利かもしれません。
学生や第二新卒の場合
一方で、学生や第二新卒の場合は、誰でもそもそも実務経験がなかったり、日が浅いため、実務経験を求められることが少なくなります。
ですので、USCPAの資格保持していることで、就職・転職先によっては有利に働き、意味があるでしょう。
特に、英語力もアピールできて、会計の専門知識だけでなく、ファイナンスや経済学などのビジネス知識を持っていることもアピールできますので、資格自体が強い武器になります。
実務経験がない場合
ただし、実務経験がないという方の場合でも、USCPA予備校のアビタスでは、「多くの卒業生の方が実務経験無しで外資系企業や会計事務所、コンサルティングファームへ転職されています。実務経験があればもちろん更に有利になりますが、経験が無かったからといって可能性がなくなるわけではありません」と言われています。
ですので、実務経験がない人は使えない資格と言えるわけではありません。
「国内企業での認知度が低い」から意味ない?
一般的に簿記や会計に関する難関資格と言えば、日本の公認会計士の資格を思い浮かべる方がほとんどでしょう。
一方、米国公認会計士(USCPA)を詳しく知る人というのは一般的には少ないのが現状です。そういう意味でも「よく知らない=意味がない」という理由になっていることがあります。
USCPA資格が有利なケースもある
もちろん、USCPAの資格を全く必要とされていない企業では、意味がないかもしれませんが、上述の求人のような監査法人、会計事務所、会計コンサル、総合商社の経理財務など企業では、USCPA資格取得者の方が断然有利になるようなケースもあります。
関連記事:米国公認会計士/USCPA|日本で働く場合、どんな勤務先で働ける? |
AIで会計士の仕事がなくなるから意味ない?
AIが進歩することで、自動化される作業が増える可能性はありますが、将来的に米国公認会計士の資格が無意味になるとは考えにくいです。
会計士は、企業の財務状況や業績を評価し、経営に関する意思決定に重要な役割を果たしています。
AIが自動化できるルーティン作業やデータ解析などの一部業務を担うことはあっても、会計士の専門的な知識や判断力が必要とされる業務は残るでしょう。
また、米国公認会計士の資格は、企業の財務報告書を作成する上で必要とされる要件の一つであり、多くの企業や業界で求められる資格です。
したがって、将来的にも需要がある職業の一つであり、米国公認会計士の資格を持つことは、長期的にキャリアにプラスになることが考えられます。
米国公認会計士(USCPA)の合格法など情報収集するなら
これからUSCPAの資格取得を考えていて、試験勉強法など各種情報収集をしている場合は、USCPAの専門校の資料請求やオンライン説明会に参加するのが早いでしょう。
USCPAに関する最新情報がわかるだけでなく、合格の秘訣やその後のキャリア構築など有益な情報が得られるはずです。
USCPAの専門校では、アビタスが合格率と評判と実績NO1ですので、まずはアビタスで無料の資料請求や説明会に参加してみましょう。
米国公認会計士(USCPA)の資格を取る意味、メリット
これらを踏まえ、日本人が米国公認会計士(USCPA)の資格を取る意味、メリットは、以下のとおりです。
国際的なキャリアの可能性
USCPAの資格は、米国内だけでなく、国際的な会計業界では高い評価を受けています。
これは、USCPA資格を持つ日本人が、海外で働く機会が増える可能性が高いということを意味します。
グローバルな会計スキルの習得
USCPAの資格を取得するには、国際会計基準や国際税務などの知識が必要です。
これにより、日本人はグローバルな会計スキルを習得することができます。
日本国内での就職・転職にも有利
日本でも、特に外資系企業やグローバル企業の経理・財務部門などから、USCPAの資格は高い評価を受けています。
したがって、日本国内の公認会計士として働く場合にも、USCPA資格を持つことは有利に働くことがあります。
給与アップの可能性
USCPAの資格を持つことにより、就職・転職先の企業にもよりますが、高い給与を得る可能性があります。
特に、グローバルな企業や国際的な監査法人で働く場合には、一般的な平均年収と比べても高い給与が期待できます。
英語力があることをアピールできる
USCPAの資格を取得するには、英語での勉強や読解力が必要です。
これらの経験は、英語力を高める上での貴重な経験になります。
したがって、USCPAの資格を持っていることは、英語力があることをアピールするうえでも有利に働くでしょう。
USCPA試験の勉強法|独学?予備校がいい?
以上を踏まえ、これからUSCPAの試験を受けようとしている人もいるでしょう。USCPA試験に合格するための一般的な勉強法やポイントは、簡単にお伝えすると以下です。
- 試験形式と範囲を完全に理解する
- 自分に最適な教材・問題集・参考書の選定
- 過去問の徹底攻略、時間配分の練習
- 自己管理
- 効果的な勉強スケジュールの設計
- USCPAの予備校を活用する
なお、USCPAの勉強時間や期間、科目内容に関しては『米国公認会計士(USCPA)|必要な勉強時間は?社会人は?』で詳しく紹介していますので、そちらを参考にしてください。
独学でUSCPAの試験に合格するのは難しい?
USCPAの試験は、独学で合格するのは不可能ではありませんが、高度な知識と技能とかなりの時間、労力が必要です。
学習の進み具合や理解度を自己判断する必要がありますし、過去問題集や模擬試験を活用し、実際の試験形式や出題傾向を把握し、計画的に学習し、時間配分にも気を配る必要もあります。
よって、試験問題への疑問点や誤解を正しく解決できない場合には、USCPAの予備校で指導を受けたり、学習グループなどで他の人と交流を持ちながら学習するのが効率的でおすすめと言えます。
米国公認会計士(USCPA)の予備校候補は4社
米国公認会計士(USCPA)の予備校を検討している場合、候補となるのは以下の4社です。
詳しくは、『米国公認会計士|USCPA予備校を比較!一番おすすめは?』で紹介していますが、結論から言うと、一番おすすめだったのは合格実績NO1のアビタスになります。
USCPA合格実績NO1の専門校|アビタス
アビタスは圧倒的な合格者数を誇る人気のUSCPA専門校です。
合格に直結するカリキュラムを限られた時間の中で効率的に学べる学習ツールを提供しています。
また、忙しい学生や社会人など様々な事情を想定し、サポート期間はUSCPAの標準学習期間の3倍以上の5年間もあります。
USCPAに合格後も、アビタスでは社内に転職エージェント機能を持ち、USCPAに合格した後のキャリアアップもサポート(転職成功者も年間100人以上)。
アビタスなら、初心者でもUSCPAの万全な試験対策からライセンス取得、合格後のキャリア形成まで安心のサポート体制が整っています。
予備校を検討中の方は、下記から資料請求やオンライン説明会に参加したりして、有益な情報を収集するのも近道です。
資格大手の学校|TAC
TACは、会計関連の資格、国家資格をはじめ、様々な資格を取得するための講座を提供している専門予備校です。
TACのUSCPA講座では、世界最大級の受験対策校のBecker社と連携し、Beckerオンライン演習ソフトを使って、本試験と近似したインターフェースでの問題演習ができます。
また、シミュレーションの解き方を動画で解説していますので、効率的な解き方の流れを知ることができます。
資格大手の学校|大原
TACと同じく、資格学校として有名なのが大原です。
大原は、簿記・税理士・公認会計士・公務員・医療事務・医療秘書・基本情報技術者などの資格取得と就職をサポートする専門学校です。
大原の講師による日本語の講義と、アメリカで人気のRoger講師による英語の両方の講義を受講することができます。
安めのUSCPA予備校|プロアクティブ
プロアクティブは、USCPAに特化した専門予備校となります。
バイリンガルのニューヨーク州公認会計士である佐々木講師が、バイリンガルスタイルで英語中心の講義を行います。
単位の追加取得が必要ない人には、プロアクティブの講座がUSCPAの予備校では最安値となります。
まとめ 意味がある人には強力な武器になる
ここまでUSCPAの資格は意味ないと言われる理由をご紹介しましたが、これらの理由を見てみると、意味ある人には、就職、転職でもとても強力な武器になることもわかったかと思います。
USCPAの資格に興味がある方は、下記のアビタスで無料資料請求やオンライン説明会で専門家からの情報が得られますので、参考にしてみてください。