
米国公認会計士(USCPA)の資格を取得しようと考えているが、意味ないと言われることを聞く人もいるでしょう。
ですが、外資系企業を始めとしたグローバル企業においては、USCPA取得者は多くのオファーがあり、世界でよく認知されている国際ビジネス資格の一つです。
ここでは、何に対してUSCPAは意味がないのかを知り、USCPAを取得することで役立つメリットをご紹介します。
目次:
1 米国公認会計士(USCPA)は意味がないと言われる5つの理由
1-1 USCPAは「公認会計士よりレベルが低い」ので意味がない?
1-2 USCPAは「海外の会計資格」だから意味ない?
1-3 USCPAは「国内企業の就職・転職で有利じゃない」から意味がない?
1-4 「実務経験がない人は使えない資格」だから意味がない?
1-5 「国内企業での認知度が低い」から意味ない?
1 米国公認会計士(USCPA)は意味がないと言われる5つの理由
USCPAは意味がないと言われる理由は大きく5つあります。
1-1 USCPAは「公認会計士よりレベルが低い」ので意味がない?
米国公認会計士(USCPA)試験の合格率は、公認会計士や簿記1級の合格率が10%未満に対して、USCPAの合格率は日本人のみでは30%、さらに全体では50%前後です。
会計資格 | 合格率 |
簿記1級 | 10%未満 |
日本の公認会計士 | 10%未満 |
米国公認会計士(USCPA) | 50%(全体) 30%(日本人のみ) |
このことから、
・公認会計士や簿記1級の資格を取得するよりも簡単
・USCPAの試験は難易度が低い
という日本人の偏差値的な思考や観点から「難関資格=意味ある」「レベルが低い=意味がない」と言われてしまいがちです。
詳しくは、『米国公認会計士(USCPA)と簿記1級の難易度の違いは?他資格ランキング比較』で、USCPAや他の資格の難易度比較を紹介していますが、
資格名 | 偏差値 |
公認会計士 | 69~77 |
米国公認会計士(USCPA) | 61~72 |
FP1級 | 56~58 |
宅地建物取引士 | 55~59 |
※各情報によって差があるため幅を持たせています
USCPAの難易度よりも数字上は低い資格でも十分仕事に有利に働く資格が多々あることをおわかりになるかと思います。
まずは、「難易度が低い=意味ない」ではなく、各個人の状況に応じて、その資格本来の意味をとらえることが大事です。
1-2 USCPAは「海外の会計資格」だから意味ない?
もちろん、米国公認会計士(USCPA)の資格を得ても、日本の公認会計士と同じ業務ができるかというと、そうではありません。
USCPAは、日本の公認会計士資格とは違い、日本での会計監査業務の提供ができず、会計監査以外のアドバイザリー業務などを行うことが考えられます。
つまり、日本の公認会計士に求められる仕事をする場合、USCPAの資格では会計監査業務ができない点で意味がないということです。
逆に言えば、それ以外の業務で財務・会計・経理の幅広い仕事を求めている外資系企業などのグローバル企業もあるため、定義によって意味がないとは言えなくなります。
1-3 USCPAは「国内企業の就職・転職で有利じゃない」から意味がない?
上述のとおり、企業が日本の公認会計士の会計監査業務の場合は、USCPAの資格では意味がないということが考えられます。
ですが、USCPAの取得者は、米国に本社を置くような外資系企業やグローバル企業などの会計業務では、就職・転職に有利に働きます。
例えば、USCPA取得者の転職・求人先を見ても、『米国公認会計士(USCPA)の年収は高い?独立・外資系転職後の年収は?』の記事でもお伝えてしているとおり、
企業 | 仕事内容 | 想定年収 |
監査法人 | 財務諸表監査、内部統制監査、金融商品取引法に基づく内部統制監査(J-SOX)、金融アドバイザリーサービス、その他証明業務など | 600~1000万 |
会計事務所 | M&A実務支援、Financial Advisory Service、組織再編・IPO・企業再生コンサルティング、企業・無形財産等評価サービスなど | 800~1200万 |
会計コンサル | 統合デューディリジェンス、統合戦略・方針立案支援、スタンドアロン・セパレーションコスト分析など | 500~1000万 |
総合商社の経理財務 | 決算・税務関連業務、営業グループの会計業務、国内外事業会社や海外現地法人での管理業務など | 500~1500万 |
※企業によって想定年収に違いがあります。
など、外資系企業をはじめ、高い給与でハイクラス求人を求める企業も多く、USCPAを取得していることによって、就職・転職の際に有利に働くケースもありますし、仕事の選択肢が広がります。
よって、
・外資系企業やグローバル企業で働きたい
・会計事務所やコンサルティングファームで働きたい
・総合商社の経理・財務部門で働きたい
・将来、海外で働きたい
というような人には、USCPAの人材が不足していることもありますし、キャリア形成に有利に働きます。
また、USCPAだけではなく転職や外資系に有利な英語の資格を学びたい場合は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。『おすすめの英語資格一覧|11種類の難易度やレベル比較とランキング』
1-4 「実務経験がない人は使えない資格」だから意味がない?
全く異業種である社会人が、USCPAの資格だけを取得してキャリアチェンジにトライしたとしても、経理・財務・会計などの実務経験なしでは、業界への転職は難しいと言われることから意味がないと言われます。
もし、目的自体が「日本国内で経理・財務・会計の仕事をしたい」という場合であれば、まずは、簿記1級や公認会計士などを取得し、実務経験を積むことを優先した方が有利かもしれません。
1-4-1 学生や第二新卒の場合
一方で、学生や第二新卒の場合は、誰でもそもそも実務経験がなかったり、日が浅いため、実務経験を求められることが少なくなります。
ですので、USCPAの資格保持していることで、就職・転職先によっては有利に働き、意味があるでしょう。
特に、英語力もアピールできて、会計の専門知識だけでなく、ファイナンスや経済学などのビジネス知識を持っていることもアピールできますので、資格自体が強い武器になります。
1-4-2 実務経験がない場合
ただし、実務経験がないという方の場合でも、USCPA予備校のアビタスでは、「多くの卒業生の方が実務経験無しで外資系企業や会計事務所、コンサルティングファームへ転職されています。実務経験があればもちろん更に有利になりますが、経験が無かったからといって可能性がなくなるわけではありません」と言われています。
ですので、実務経験がない人は使えない資格と言えるわけではありません。
1-5 「国内企業での認知度が低い」から意味ない?
一般的に簿記や会計に関する難関資格と言えば、日本の公認会計士の資格を思い浮かべる方がほとんどでしょう。
一方、米国公認会計士(USCPA)を詳しく知る人というのは一般的には少ないのが現状です。そういう意味でも「よく知らない=意味がない」という理由になっていることがあります。
もちろん、USCPAの資格を全く必要とされていない企業では、意味がないかもしれませんが、上述の求人のような監査法人、会計事務所、会計コンサル、総合商社の経理財務など企業では、USCPA資格取得者の方が断然有利になるようなケースもあります。
【その他USCPAに関する記事】
・『米国公認会計士(USCPA)と簿記1級の難易度の違いは?他資格ランキング比較』
・『米国公認会計士(USCPA)|必要な勉強時間は?社会人は?
・『【大卒/高卒】米国公認会計士(USCPA)の受験資格と各要件』
・『米国公認会計士(USCPA)の年収は高い?独立・外資系転職後の年収は?』
・『米国公認会計士/USCPA|日本で働く場合、どんな勤務先で働ける?』
まとめ 意味がある人には強力な武器になる
ここまでUSCPAの資格は意味ないと言われる理由をご紹介しましたが、これらの理由を見てみると、意味ある人には、就職、転職でもとても強力な武器になることもわかったかと思います。
USCPAが自分に必要な資格なのかわからないという人は、一度、USCPA受験や資格取得者の転職情報に精通する予備校のアビタスで資料請求したり、オンライン説明会に参加して、知識やケーススタディを増やすことをおすすめします。