米国公認会計士(USCPA)の資格取得を検討していたり、USCPA保持者で外資系転職などを考えていたりして、その年収が気になる方も多いでしょう。
ここでは、アメリカや日本での各レベル別の米国公認会計士(USCPA)の年収とその仕事内容、USCPA保持者の転職と年収についてご紹介します。
目次
アメリカでの米国公認会計士(USCPA)の年収は高い?
グローバルな資格で知られる米国公認会計士(USCPA)ですが、この資格を取得したら、アメリカではどのくらいの年収になるのでしょうか?
ここでは、『How much do accountants really earn?(Accounting Today)』の記事から引用してご紹介します。
アメリカの米国公認会計士(USCPA)|勤続年数・レベル別の年収
アメリカでの公認会計士の給与は、経験年数によって大きく異なります。
役職・レベル | 年収(ドル) | 100円/$換算 | 130円/$換算 |
エントリーレベル(1年未満) | 40,000〜65,000ドル | 400~650万円 | 520~845万円 |
ジュニアレベル(1〜3年) | 52,000〜87,000ドル | 520~870万円 | 676~1131万円 |
シニアレベル(4〜6年) | 66,000〜110,000ドル | 660~1100万円 | 858~1430万円 |
マネージャー兼ディレクター | 150,000ドル以上 | 1500万円以上 | 1950万円以上 |
アメリカ|エントリーレベル(1年未満)の年収
米国労働統計局のデータによると、エントリーレベルの公認会計士は、会社の場所と規模に応じて、$ 40,000から$ 65,000の間で稼ぐことが期待できます。
アメリカ|ジュニアレベル(1~3年)の年収
アメリカでの公認会計士は経験を積むにつれて、自信を持ってより多くの職務を遂行することができるため、1〜3年の経験を持つジュニアレベルの米国公認会計士は、52,000ドルから87,000ドルの収入が期待できます。
アメリカ|シニアレベル(4~6年)の年収
シニアレベルでは、より高い収入と特典がもたらされます。この時点で、ほとんどの公認会計士はすでにキャリアパスを選択しています。
例えば、税務問題を専門とする人もいれば、監査を専門とする人もいます。企業分野でも、4年から6年の経験を持つ上級会計士は、66,000ドルから110,000ドルの収入を期待できます。
アメリカ|マネージャー兼ディレクターの年収
マネージャー兼ディレクターは、通常7年以上の経験を持っています。この経験レベルの公認会計士は最大15万ドル以上を稼ぐ人もいます。
アメリカの公認会計士(USCPA)|平均年収が高い州は?
米国労働統計局によると、平均年収が高い州は下記のとおりです。
順位 | 年収の高い州(米国) | 平均年収 |
1位 | ワシントンD.C. | 96,880ドル |
2位 | ニューヨーク | 95,430ドル |
3位 | ニュージャージー州 | 91,400ドル |
4位 | バージニア州 | 84,530ドル |
5位 | カリフォルニア | 83,540ドル |
ワシントン・ニューヨークの会計士の年収が高い
ワシントンD.C.の米国公認会計士(USCPA)の平均年収が96,880ドルで、アメリカ国内で最も高い年収となっています。
ニューヨークは95,430ドルで僅差の2位、続いてニュージャージー州が91,400ドル、バージニア州が84,530ドル、カリフォルニアが83,540ドルで続いています。
給料の変動は、異なる都市での生活費によるものや、一部の州では会計士が不足しているため、州での需要が増加し、会計士の給与が高くなる可能性があります。
海外の公認会計士(CPA)の年収は?
アメリカ以外の海外の公認会計士(CPA)の年収は以下のとおりです。
国・地域 | CPA平均年収(単位) |
---|---|
日本 | 約930万円 |
アメリカ | 約8万ドル |
イギリス | 約6万ポンド |
ドイツ | 約8万ユーロ |
カナダ | 約9万カナダドル |
オーストラリア | 約10万豪ドル |
韓国 | 約5,500万ウォン |
中国 | 約23万人民元 |
※ただし、各国の統計方法や通貨の変動などにより、数字に誤差がある可能性があります。
日本では、公認会計士の年収は約800万円から1500万円程度が一般的で、中国では約30万元から80万元程度、イギリスでは、公認会計士の年収は約4万ポンドから12万ポンド程度が一般的ですが、当然、経験・勤続年数や所属する会計事務所の規模によっても異なります。
なお、あくまで目安であり、個人の職業や業種、スキルや経験、地域、企業規模、業績などによっても大きく変わってきますし、各国の経済状況や産業構造、労働市場、為替、税制、インフレの状況などにも影響されます。
※USCPA受験資格に関しては、州ごとに異なりますので『【大卒/高卒】米国公認会計士(USCPA)の受験資格と各要件』を参考にしてください。また、USCPA試験の難易度やその勉強時間なども知りたいという方は『米国公認会計士(USCPA)と簿記1級の難易度の違いは?他資格ランキング比較』や『米国公認会計士(USCPA)|必要な勉強時間は?社会人は?』をご覧ください。
日本で米国公認会計士(USCPA)の年収
次に、日本での米国公認会計士(USCPA)の年収を各レベルと企業規模ごとにご紹介します。
よく「USCPA資格」を取っても意味がないと言われることもありますが、『米国公認会計士(USCPA)が意味ない5つの理由とメリット』でもお伝えしているとおり、意味がある人には就職・転職時にとても武器になります。
大手4大監査法人(BIG4)と中堅クラス監査法人の年収比較
日本での米国公認会計士の大手監査法人と中堅クラスの監査法人の年収では、大手に比べて中堅クラスの方が少し低くなります。
【日本での米国公認会計士の大手・中堅監査法人の年収比較】
役職・レベル | 大手4大監査法人 | 中堅クラスの監査法人 |
パートナー | 1500万円以上 | 1300万円以上 |
シニアマネージャー | 1200万円程度 | 1000~1200万円 |
マネージャー | 900~1100万円 | 800~1000万円 |
シニアスタッフ | 700~850万円 | 500~650万円 |
スタッフ | 500~650万円 | 400~550万円 |
日本の米国公認会計士|4大監査法人(BIG4)の年収
日本において、BIG4とも呼ばれる大手監査法人(BIG4)に位置付けられるのは、以下の4つの会計事務所です。
- あずさ監査法人 (Azusa Audit Corporation)
- PwCあらた有限責任監査法人 (Arata LLC)
- トーマツ (Deloitte Tohmatsu Group)
- EY新日本有限責任監査法人 (EY ShinNihon LLC)
この4大監査法人の年収は、パートナーが1500万円以上、シニアマネージャー 1200万円程度、マネージャーが900~1100万円、シニアスタッフが700~850万円、スタッフは500~650万円と言われています。
日本の米国公認会計士|中堅クラスの監査法人の年収
中堅クラスの監査法人の年収では、パートナーが1300万円以上、シニアマネージャーが1000~1200万円、マネージャーが800~1000万円、シニアスタッフが500~650万円、スタッフが400~550万円となっています。
また、上記以外に、外資系企業やコンサルティング会社であれば、年収500~700万円位で、スキルや能力次第で若い人でも1000万円を超える場合もあり得ます。マネージャー以上になるとより高年収となります。
日本の公認会計士(cpa)の平均年収・給料・初任給は?
日本の公認会計士(CPA)の平均年収・給料・初任給については、以下になります。
- 平均年収:約930万円(2021年度、日本公認会計士協会調べ)
- 平均給料:約59.4万円/月(2021年度、公認会計士協会調べ)
- 初任給:約350万円 – 450万円程度(大手監査法人や企業会計部門など、2019年度の求人情報からの推定)
なお、公認会計士の年収・給料・初任給は、所属する事務所・企業、職種、地域、スキルや経験年数などによって大きく異なるため、上記の数字はあくまで参考値としてご覧ください。
日本の大学卒業者の平均初任給は、2022年卒業者の場合、月給23万〜24万円程度とされていますので、年収が比較的高い職業・職種になります。
USCPAと税理士はどっちが年収高い?
日本においても、USCPAと税理士の年収については、業界や職種、地域、経験年数など多くの要因によって異なります。
しかしながら、一般的にはUSCPAの方が税理士よりも高い年収が期待できる傾向があります。
これは、USCPAがグローバルな会計・ファイナンスの領域で認知度が高く、アメリカの大手企業やグローバル企業において重要なポジションを占めることが多いためです。
一方、税理士は、主に国内での税務に関する専門知識が求められ、年収面でも比較的低い傾向があるとされています。
監査法人と会計事務所の違い
監査法人と会計事務所の違いは、主に以下の点があります。
事業内容の違い
監査法人は、監査やコンサルティングなどの専門的な業務を行うことが主な事業内容です。
一方、会計事務所は、中小企業や個人事業主向けの経理・税務申告や労務管理など、一般的な会計業務全般を行うことが主な事業内容となります。
よって、監査法人には公認会計士、会計事務所には税理士が多く所属しています。
規模の違い
監査法人は、大手企業や上場企業を中心に大規模な案件を担当することが多く、従業員数も多い傾向にあります。
一方、会計事務所は中小企業や個人事業主を中心に案件を担当するため、従業員数も比較的少なくなります。
法的地位の違い
監査法人は、法律によって設立された法人格を持ち、国内外の大手企業や上場企業の監査を行うため、公認会計士が多く在籍しています。
一方、会計事務所は、税理士や公認会計士が中心に在籍し、法律上は個人事業主や法人格を持つ場合があります。
顧客層の違い
監査法人は、大手企業や上場企業を中心に案件を担当するため、顧客層は比較的限られた範囲になります。
一方、会計事務所は、中小企業や個人事業主を中心に案件を担当するため、幅広い顧客層を抱えることができます。
米国公認会計士(USCPA)の仕事内容は?
米国公認会計士(USCPA)は、会計や税務、監査の専門家として、
・米国の税法に基づく法人税や個人所得税の申告などの会計業務
・試算表や帳簿のチェック、英文財務諸表、決算書などの会計業務
・国内や海外の会計、税務、経営に関するコンサルティング
・国内と海外とのパートナー企業などとの会計業務の対応
・その他企業のグローバルな事業展開のサポート等
といった業務を行います。
日本においても、米国に本社を置く外資系企業やグローバル企業などの会計業務では、米国の会計基準で会計処理を行う必要のある場合など、米国公認会計士(USCPA)が必要な業務を担当することもあります。
米国公認会計士(USCPA)で日本でも独立はできる?
米国公認会計士の独立は可能ですが、日本の公認会計士とは業務範囲が違い、日本では会計監査業務の提供はできないというのが難点です。
独立の際は、例としては、米国に本社を持つ企業など、日本の支社や関連会社でも英語で扱う会計業務などが発生しているけど、英語による会計業務が社内では苦手な会社、あるいは人手不足な会社などに、会計監査以外のアドバイザリー業務を行うことが考えられます。
米国公認会計士(USCPA)資格保有者の転職と年収
また、米国公認会計士(USCPA)取得者が転職する場合、どのくらいの年収が見込めるでしょうか?
各USCPAの求人・転職サイトを見る限り、下記の年収の幅に近い数字になっています。
企業 | 仕事内容 | 想定年収 |
監査法人 | 財務諸表監査、内部統制監査、金融商品取引法に基づく内部統制監査(J-SOX)、金融アドバイザリーサービス、その他証明業務など | 600~1000万 |
会計事務所 | M&A実務支援、Financial Advisory Service、組織再編・IPO・企業再生コンサルティング、企業・無形財産等評価サービスなど | 800~1200万 |
会計コンサル | 統合デューディリジェンス、統合戦略・方針立案支援、スタンドアロン・セパレーションコスト分析など | 500~1000万 |
総合商社の経理財務 | 決算・税務関連業務、営業グループの会計業務、国内外事業会社や海外現地法人での管理業務など | 500~1500万 |
※企業によって想定年収に違いがあります。
大手監査法人から会計事務所、会計コンサル、総合商社の経理や財部部門への転職なども含めて、どれも実務経験や能力、条件によっては1000万以上になる転職のケースもあります。
USCPAの求人情報の見つけ方
日本でのUSCPAの求人を見つける方法としては、以下のような方法があります。
1.転職サイトの利用
マイナビ、リクナビ、DODAなどの転職サイトには、USCPA資格を持った人材を求める求人情報が掲載されていることがあります。
転職サイトに登録し、検索条件を設定して求人情報を収集すると良いでしょう。
2.会計事務所や企業の採用ページの利用
大手会計事務所や企業には、USCPAを求める求人が掲載されていることがあります。
それらの企業や会計事務所の公式サイトに採用情報が掲載されている場合があるので、確認してみてください。
3.USCPA関連のイベントやセミナーに参加する
USCPA関連のイベントやセミナーに参加することで、USCPA関連の情報や求人情報を得ることができる場合があります。
また、参加者同士の交流もできるため、自分にあった求人情報を聞くこともできます。
4.人材紹介会社の利用
人材紹介会社に登録し、USCPAを持った人材を求める企業とのマッチングをしてもらうこともできます。
以上の方法を活用して、自分にあったUSCPAの求人情報を収集し、就職・転職活動を進めていくと良いでしょう。
USCPA資格取得者の勤務先例に関しては、『米国公認会計士/USCPA|日本で働く場合、どんな勤務先で働ける?』を参考にしてください。 |
なお、米国公認会計士(USCPA)の資格を保有していることで、グローバル企業や外資系企業への転職は、日本の公認会計士と比べても有利になる場合も多いです。
特に、USCPAは英語・会計・IT・法律・ファイナンスが学べるという点からも、国際資格として評価されています。
これから資格取得して「USCPA」として活躍したい場合
USCPAの資格取得を少しでも考えている場合は、USCPA予備校として約3人に2人のUSCPA合格者を出しているアビタスで資料請求(無料)やオンライン説明会に参加をおすすめします。
まずは、資格取得の最短方法からUSCPAとして働くのためのルートを知ることが大切です。