毎日のように英語で海外ドラマを聞いても、洋楽を聴いても、何故、英語のリスニング力は上がらないのでしょうか?
一日中聞き流しをやったり、集中して英語を聞いても、一向に上達しない・・・
そんな悩みの方は本当に多いです。あなただけの問題ではありません。
そして、「耳が悪いから」という訳の分からない理由を口実に、リスニングを諦めていませんか?
日本人の特徴は下記です。
- 音が無いリーディングとライティングが得意
- 音があるリスニングとスピーキングが苦手
要するに「英語の音」には日本人は苦手意識があり、長年の悩みでもあります。
でも、その解決法がいつも曖昧になっている・・・
目次
リスニングが出来ない理由は3つだけ!
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あなたは、リスニングが出来ない理由を自分で分析したことがありますか?
基本的に英語のリスニングが苦手で不得意な方は次の3つのパターンに収まるはずです。
- パターン1.単語力不足
- パターン2.スピードに付いていけない
- パターン3.その両方
たったこれだけです。
これはリスニングをして、そのテキストを目でリーディングして確かめたらすぐに分かります。
しかし、特に多いのがパターン2です。
音声の後にテキストをリーディングをすると何となく意味は分かる、という英語学習者が圧倒的に占めています。
つまり、英語の音を聞きながら、脳での処理能力が追い付いていないだけなのです。
要するに、この処理能力を上げる勉強やトレーニングを実施することが一番のリスニング上達への近道ということです。
「英語の音」を味方につければリスニング力は向上する!
リスニング時の処理能力を上げるには、ひたすら英語を聞けば上手くいくのでしょうか?
インプットだけでリスニングは上手くならない?
英語を母語としない人たちがどのように英語を習得するのかが、1970年代から研究されているのを知っていますか?
それが、「第二言語習得論(SLA/Second Language Acquisition)」というものです。もちろん英語以外でも適応される研究です。
書籍も多く出版されています。興味がある方は、こちらをご覧ください。
そこで、「インプット仮説」というのがあります。
ざっくり簡単に説明すると「理解可能なインプット(情報)が与えられれば、それだけ第二言語は習得できる」というものです。
この仮説があるので、下記の勉強法はリスニングに効果的なように思えますね?
- 聞き流し → 大量に情報を聞く(多聴)
- 多読 → 大量に情報を見る
しかし、どうでしょうか?
音も文法も日本語とは違う、英語の文章を毎日単純に聞き流しでリスニング力が付くと思えますか?
また、英字新聞を毎日読むことで、単語力は付くかも知れませんが、それがリスニング力を飛躍的に伸ばすことは想像できませんね。
前章でも述べたように、聞いて分からないけど、見たら分かるという現象の繰り返しになります。
読む(リーディング)と聞く(リスニング)は同じインプットですが、全く違う能力で、あなたが手にしたいのは後者なので、単純にインプットだけしてもリスニング力が伸びないのは一目瞭然です。
日本人は音がない黙読というリーディングの方が、リスニングよりも得意です。因みに、アウトプットも同じで、音がないライティングの方が得意で、英会話(スピーキング)は不得意です。
これを解消するには「インプット仮説」だけでは、日本人のリスニング力向上には役立たない可能性がとても高いのです。
インプットとアウトプットの併用で爆発的にリスニング力が伸びる!
ここで重要になるのが、「アウトプット仮説」というものです。
これも簡潔に述べると、「インプット(聞く・読む)だけでは学習能力は不十分であり、アウトプット(書く・話す)も併用することで言語処理能力が上がり、より学習内容を定着させる」というものです。
この仮説のような指導が、今現在ヨーロッパなどの英語教育でも取り入れらています。
日本の英語教育は、そのほとんどが「インプット」教育でしたが、その動きも徐々に変わりつつあります。
インプットとアウトプットを大量にこなすことで、リスニングだけじゃなく、文法ルールも自然と身に付くとされています。アウトプットすることで、インプットした情報の間違いに気づいたりすることができます。
話ながら言い換えたりするのは、その文法上や単語の間違った使い方に気づいた時などに誰もが自然と行っているアウトプットのやり方です。
要するに、「インプット+アウトプット」の学習法がリスニング力だけじゃなく、語彙力、文法力も高めるという凄い効果を発揮することができるのです。
忙しい社会人や学生など、スキマ時間で英語の総合力を伸ばしたい方も、この後からの勉強法は必見です。
初心者向けの英語リスニング勉強法とは?
では、どのようなリスニングを伸ばす勉強法があるのでしょうか?
特に初心者や英語に苦手意識がある方は、「ディクテーション」を先ずはおすすめします。
それに慣れたら、「音読」という勉強法に移行します。どちらも、インプットとアウトプットを併用している方法です。
ディクテーション
ディクテーション(dictation)の勉強のやり方は下記です。
- 手順1.音声を聞くだけ(インプット)
- 手順2.音声を聞いた後に、ノートに書き出す(アウトプット)
- 手順3.テキストと比べて間違いを確認する
先ずは英語のスピードを感じながら、聞いた後に英語の音が頭に残った状態にして、それを書き出す意識です。
この時点で意味を考える必要もなく、英語のスペルも気にする必要はありません。聞いて書く、動作を繰り返すことで英語の音とスピードに慣れるという習慣を付けていきます。
リピーディング法
ディクテーションで英語の音に慣れたら、今度は実際に音を出すというアウトプットを行います。
つまり、「書く」というアウトプット、「声に出す」というアウトプットに移行します。
「リピーティング法」とは音読の1つで、英語の音を真似して発音する方法です。
リピーティングのやり方は下記です。
- 手順1.テキストの意味を理解する(英単語も確認する)
- 手順2.音声を聞いた後に、テキストを見ながら発音する
- 手順3.音声を聞いた後に、テキストを見ずに発音する
発音は完璧じゃなくても構いません。英語のスピードを真似て、同じスピードで話そうとすることで英語の発音力も付いてきます。
ここで、自分の発音を録音して、ネイティブの音との違いを聞くことで更にうまくなっていきます。
発音が矯正されることで、今まで聞き取れなかった音も聞けるようになり、リスニング力の向上にも大きく役立ちます。
アウトプット仮設で英単語も吸収できる!
でもやっぱり英単語を覚えることは、聞きながら理解するというリスニング力アップには欠かせない永遠のテーマになるので、単語帳が必要かと思いますよね?
しかし、音読することが、書くよりも約3倍のスピードで英単語を覚えることができます。これについては、『英単語の覚え方|3倍速の短時間でドンドン吸収できるコツとは?』でも詳しく解説しています。
同じアウトプットでも、音を出すという音読の方がより脳への刺激が強く、忘れない長期記憶の定着する可能性が高くなります。
インプットとアウトプットの併用で、リスニング力、発音力だけじゃなく、英単語力も身に付けることができるということになります。
更にリスニング力をアップする方法とは?
ディクテーションとリピーディング法だけでも、初級者のリスニング力を上げるには十分なのですが、もっと聞き取れるようになりたい!という方には、音読の1つにシャドーイングがありますが、この方法をおすすめします。
先ほどはインプットの後に多少の時間をおいて、アウトプットするという学習法でした。
しかし、シャドーイングは、リスニング(インプット)と音読(アウトプット)をほぼ同時にやる方法となり、難易度が上がります。
第二言語習得論に基づいたプロソディーシャドーイング(意味を理解しないシャドーイング)・コンテンツシャドーイング(意味を理解するシャドーイング)を順番に行います。
プロソディー・シャドーイング
先ずは、意味を理解しないシャドーイングを行います。
やり方は次となります。
- 手順1.音声を聞いて音に慣れる
- 手順2.音声と同時にテキストを見ながら音読する(シンクロ・リーディング)
- 手順3.音声を聞いた直後(0.5~1秒ぐらい後)に、陰で追いかけるように発音する
コンテンツ・シャドーイング
次は、意味を理解するシャドーイングとなります。
やり方は次となります。
- 手順1.テキストを見て意味を理解する
- 手順2.音声を聞いた直後(0.5~1秒ぐらい後)に、陰で追いかけるように意味を理解しながら発音する
アウトプット仮説で苦手な発音も克服できる!
リピーティング法でも発音の矯正にも繋がりましが、シャドーイングは更にその効果が上がります。
ほぼ同時に英語をリスニングしながらの発音なので、どんどんネイティブの発音の仕方、イントネーションが定着する感覚です。
自分の発音した音が上達することで、その自分の声を聞くことでリスニング力も同時に向上するのは言うまでもありません。
しかし、いきなり、コンテンツ・シャドーイングは難しく、初心者の方はすぐに挫折してしまいます。必ず、ディクテーションからトレーニングを始めるようにしましょう。
リスニング対策におすすめの教材の見つけ方
これまで紹介した方法を実践するにも、その教材が必要ですよね。
『英語リスニング教材|厳選!9つのおすすめ無料アプリ・サイト・動画』で、mikan、イングリッシュセントラルなどのアプリ、フレンズやフルハウスなどの海外ドラマ、Voicetubeなどの無料サイトなどをおすすめしていますが、大切なのは自分にあった教材の見分け方です。
ナチュラルスピードとレベルは必須
リスニング教材の選び方で大切なのが、速度とレベルです。
例えば自分が知っている単語だけじゃつまらないと思っても、それと同じか少し下のレベルの教材を選びます。
あくまで、リスニング力のためのトレーニングがメインなので、英語の音の方が重要です。単語ではありません。
しかし、難しすぎる単語ばかりの英文であれば、コンテンツ・シャドーイングに移行した時に難しすぎて続かない可能性があります。
また、スピードは必ずナチュラルスピードの教材を選んで下さい。
基準としては、180wpm(1分で180単語)であればでれでもOKです。
倍速などの意味不明な、英語のリズムを失った英文は絶対に選ばないようにして下さい。ディクテーション、リピーティング法、シャドーイングというアウトプットで発音の弊害にもなります。
短文対策
英会話のリスニングを鍛えたい!というのであれば、短めの英文での練習がベストです。
しかし、単語単体ではなく、あくまで英文という一塊です。
海外ドラマなど見ていて、自分が好きな短めのフレーズなどを教材にしても構いません。
長文対策
試験やニュースなどでの長文リスニングを鍛えたいという方でも、必ず短文での練習に慣れてから実践して下さい。
NHKなどのニュースサイトでテキストもあるもの、または、TOEIC Part3やPart4にあるような長文をここでご紹介した練習の教材としても活用して下さい。
しかし、勉強のレベルが高いので、長文のリスニング対策は、シャドーイングのみのトレーニングとして下さい。
まとめ:リスニングの上達にシャドーイングは効果絶大!
第二言語習得論のインプット仮説は今のところ絶対的なもので、大量のインプットは言語習得、つまりリスニングにも効果的なのは変わりません。
なので多くの量のインプットをすることは欠かせません。
しかし、それだけではリスニング力を含めた英語力が伸びないのも、私たち日本人の英語力から一目瞭然です。
よって、アウトプット仮説は私たちのリスニング力アップには必要不可欠です。
インプットした情報を定着させるにも効果的で、それを同時にできる最も効果的な方法がコンテンツ・シャドーイングです。
マイスキ英語は独自のリスニング勉強法を、『英語のリスニング力が驚くほど開花する超簡単な勉強法』の記事でも紹介していますが、コンテンツ・シャドーイングが最終であり、そして最高のリスニング勉強法です。
英語のリスニング力を上げるのに、アウトプットをするといのは逆転の発想ですが、言語習得の流れには逆らっていないごく自然な方法です。
今までどうしてもリスニングが上手くならずに悩んでいた方であれば、今すぐ単語帳や聞き流しを止めて、ディクテーション、リピーティング法、プロソディー・シャドーイング、そしてコンテンツ・シャドーイングと順序に試していきましょう!