
私が指導する生徒さんにも医師の方は少なくありません。
その中でもよく相談があるのが、「どのように医学英語を勉強したらいいのか?」という悩みです。
日常会話やビジネス英語、旅行英語などを中心に英語指導していて、「医学英語」についてはほとんど触れたことはありませんでした。
しかし、医療・医学英語といっても外来診察(内科・外科)、学会での発表、論文、研究など幅広くあります。
論文は読めるけど、実際の外国患者の外来診察が英語でできない、外来診察は出来るけど、学会で発表や質疑応答、リスニングが不得意など、様々なパターンがありあす。
私が指導する医師の方の大多数がおっしゃっていたのが、海外での学会での立食パーティーで、日本人だけが集まっている場面が多々あるそうです。
そこで、医師の方から医療・医学英語の指導をお願いされたこともあり、私もゼロからの勉強をスタートしました。
その私が医学英語を勉強するにあたり大変参考になった参考書やアプリ、また映画や海外ドラマの活用法などがあります。
目次:
1.医学英語を勉強するためのおすすめの3つの参考書(本)・CD付き
・参考書その1.「正しく診断するための診療英会話」CD付き
・参考書その2.「医師のための医療面接の英語」
・参考書その3.「医師のための身体診察と検査の英語」
2.医学英語力を強化する!おすすめの2つの無料アプリ
・医学部英単語
・Polyglots(ポリグロッツ)
3.医者におすすめの医学英語勉強法
・忙しい医師の方でも出来る!医学英語勉強法:基礎
・忙しい医師の方でも出来る!医学英語勉強法:応用
・医師の海外留学は英語力を鍛えるため?
0.医療・医学英語(英単語)って何?

そもそも医師など医療従事者使う英語ってどのようなものなのでしょうか?
日本語でも思い出して下さい。
例えば、「循環器内科」などの「~科(診療科)」、「遺産逆流」や「嚥下困難」などの症状、「直腸」や「弁膜」などの体の部位。
これらは日常会話的に頻繁に使いませんよね。それは英語でも同様です。
また、医療現場で使う表現は日常会話と異なる英単語を使う場合が多いです。
例えば、「うんち(便)」でみてみましょう。日常会話では「shit」ですが、医療現場では「stool」という表現をします。
また、「腹痛」とうい症状の表現も、患者側は「stomachache」と表現しても、医師などは「abdominal pain」という感じで表現します。
全然違いますね。
簡単な例ですが、これらの表現を総合して医療・医学英語となります。
日常英会話、一般のビジネス英会話とは違うこれらの英語表現はどのようにして覚えたらいのでしょうか?
次から医師、研修医、医学部の学生でもすぐに始めることが出来る勉強法をご紹介していきます。
1.医学英語を勉強するためのおすすめの3つの参考書(本)・CD付き
私が医師の生徒に医学英語の勉強をどのようにしたらいいのかを指導する前に、先ずは自分が医療・医学英語をマスターする必要があると思い、書店に向かいました。
「医学英語に先ずは触れること」が第一歩だったので、参考書を探しました、「英語コーナー」で。
しかし、英語コーナーのどこを探しても全然ないんです。しびれを切らして店員に聞いてみると、「医学コーナー」にあるとのこと。
実はこれはどこの大手書店でも同じでした。都内の「三省堂」、「ジュンク堂」、「紀伊国屋本店」など。
それくらい一般の方が見ないということですね。
今現在は分かりませんが、英語コーナーには、旅行、ビジネス英語、TOEIC、英検など様々なジャンルの英語の参考書があるのに、医学・医療英語の参考書はそこにはありませんでした。
話は戻りますが、そこでどの参考書がいいのかそこにある全ての参考書に目を通しました。
単語が中心のもの、CDが付いていてリスニングもできるものなど。
その中で私が参考にした3冊あります。
もちろん、『医学英語で2つのおすすめ辞書!電子辞書やアプリと無料翻訳ツール』で紹介している辞書もありますが、医学英語に特化しています。
また会話のフレーズなどはほとんどないので、先ずはここでご紹介するおすすめの参考書を見てみるのがベターです。
参考書その1.「正しく診断するための診療英会話」CD付き
外来の患者さんとの英会話フレーズがCD付きで習得していくので、「正しく診断するための診療英会話(ナツメ出版)」はおすすめです。
問診、検査、結果の説明、次の予約、処方箋を出すなどの基本的なフレーズから、応用編として各診療科(神経内科や整形外科など様々な科)での患者とのやり取りのフレーズをCDを聞きながらマスターしていきます。
Amazonなどインターネット経由でもご購入できるのですが、一度書店で確認された方がいいかと思います。価格も3000円(税別)と安くはないので、しっかりと検討してみて下さい。
しかし、全てのケース(症状など)を網羅することは一冊では不可能です。
そこでもう2冊おすすめの参考書をご紹介します。
参考書その2.「医師のための医療面接の英語」
持ち運び安いサイズ(ハンドブックタイプ)となっておりますが、音声もダウンロード出来きておすすめなのが「医師のための医療面接の英語(アスク出版)」(2500円+税)です。
問診、症状を聞くなどに特化した参考書となっています。
こちらも各診療科別での英語フレーズを中心に学習できます。こちらも先ほどの参考書同様に、一度書店で手に取ってみて下さい。
参考書その3.「医師のための身体診察と検査の英語」
上記と同じ出版社ですが、身体検察と検査をする時に使える英語フレーズに特化した参考書が、「医師のための身体診察と検査の英語(2500円+税)」です。
こちらも音声が無料ダウンロードできるので、CDの代わりにスマホなどに落として通勤中や就寝前などの隙間時間を有効活用できます。
2.医学英語力を強化する!おすすめの2つの無料アプリ
医療・医学英語に触れて勉強するのに、他の英語同様にアプリは欠かせません。
日常会話やビジネス英語などの無料アプリは、『英語勉強|英検1級・TOEIC満点者おすすめのアプリ・教材35選』でもご紹介しているのですが、医学英語に触れるという意味では少し異なります。
よってここでは「医学英語」に特化したアプリをご紹介します。
診察などのフレーズ的なのだけではなく、論文、学会などにも対応できる医学英語を強化したいという方にもおすすめです。スキマ時間に是非ご利用ください。
医学部英単語
医学部の学生だけではなく、医師、また受験生などにも役立つ無料アプリが「医学部英単語」です。
医学英単語に強くなりたいならおすすめです。
Polyglots(ポリグロッツ)
日常会話、ビジネス英語でも国内シェアNO1の実績がある無料アプリが、「ポリグロッツ」です。
しかし、そこに医療英語があるということを知っている方は多くありません。
医療関連のニュースなどが毎日のように配信されているので、研究などにも興味がある方、海外の医療ニュースをリアルタイムで確認したい方にもおすすめです。
3.医者におすすめの医学英語勉強法
ここまでは医学英語に強くなるための参考書やアプリの紹介をさせて頂きましたが、英文の構造(作り方)やリスニングの仕方などは日常会話と何ら変わりません。
また、医学英語に強くなったけど日常会話が出来ないのでは本末転倒です。
よって、ここでは忙しい仕事の合間や隙間時間でも出来る基礎と医学英語の勉強法をご紹介いたします。
忙しい医師の方でも出来る!医学英語勉強法:基礎
患者との会話のやり取りは医学英語ばかり使うわけではありません。
海外の学会、海外からの研修生との話など、日常会話は欠かせません。もちろんフォーマルな会合などの場合は通常のビジネス英語も押さえる必要があります。
しかし、全ては「中学英語」をいかにうまく活用するかがキーポイントで、それがスタートです。
忙しくても基礎の英語力を鍛える勉強法
仕事が忙しくて毎日何時間も英語の勉強に割けないという方は是非、『社会人向け英語勉強法|スキマ(隙間)時間で6つのやり直し独学の仕方』でご紹介している方法も参考にしてみて下さい。
忙しい医師の方でも出来る!医学英語勉強法:応用
日常会話も医学英語も両方強くなりたい!という医師の方には海外ドラマを活用した方法がおすすめです。
海外でいまだに人気の「ER緊急救命室」です。
医療用語が頻繁に飛び交い、医学英語のリスニング強化には最適です。もちろん、医者同士のプライベートなど日常会話も含まれるので一石二鳥です。
しかし、その勉強法にコツがあります。
楽しくストレスなしの医学英語勉強法
一般の方には「ER緊急救命室」は教材としておすすめしないのですが、医療従事者には最適です。その詳しい使い方や方法は、『英語リスニング|映画・海外ドラマが字幕なしで分かる!2つの勉強法』をご参考下さい。
医師の海外留学は英語力を鍛えるため?
英語力を鍛えるには「海外留学」が思い浮かぶでしょうが、医師の方は特別な留学になります。
「研究留学」と「臨床留学」の2つです。
しかし、どちらも留学前に高い英語力(医学英語だけではなく総合の英語力)が必要なため、単に英語力を鍛えるという目的では難しいですし、おすすめしません。
上記の留学を将来的にお考えであれば、今回ご紹介した方法を参考にして英語力全体を向上していきましょう!
まとめ:医師が英語を勉強する必要性はドンドン大きくなる
外国人観光客、また海外からの移住者(短期・長期)は10年前と比べると大きく増えてきています。
少子化の日本であるからこそ、外国人労働者の力などを借りる必要があります。これは今後医療現場でも同じようになるでしょう。
特に外国人の患者が増えてきている昨今。英語でコミュニケーションが取れないのであれば、正しい治療も難しくなってきます。
しかし、今回の勉強法でも分かったかと思いますが、基本は「日常英会話」です。
英文の作り方(問診での質問、診断結果の説明など)、また患者から症状を聞く場合のリスニングなど、医学英語だからといって英文法や聞き方などが変わるわけではありません。
要するに、いかに現状使っている医療・医学表現を英語の単語・フレーズに落とし込むかだけです。
医学英語にも毎日触れることが大切であり、そのためにはアプリや参考書を活用して飽きずに勉強を続けることが最大のコツです。
ここでご紹介した方法を先ず試して、今後の医療現場で活かして下さい。
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