知覚動詞とは、見る、聞く、感じるという感覚を表す動詞のことを言います。
英語では、「verbs of perception」と表現し、「知覚・感覚・認知の動詞」という意味になります。
動詞の「see」、「hear」、「feel」などが英語の代表的な知覚動詞になりますが、それ以外にも「smell」や「notice」など他の日常会話でも使う表現があります。
また、知覚動詞の特徴としては、例えば見る/聞く/感じる人・モノ(目的語)が何かをしている、されているという表現に使えることです。
それらの文が受け身(受動態)でも表現できます。
目次
「見る」の知覚動詞一覧:使い方と形
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先ずは、知覚動詞の「~を見る」から確認していきましょう!
see
「see(シー)」は「~を見る」という時に使う動詞です。過去形は「saw(ソー)」、過去分詞は「seen(シーン)」となります。
「see」は基本的に次の形で使えます。
- see + 人・モノ + 原形不定詞(動詞の原形) ※人・モノが~するのを見る(全部動作)
- see + 人・モノ + 現在分詞(動詞ing) ※人・モノが~しているのを見る(一部動作)
- see + 人・モノ + 過去分詞(受動態) ※人・モノが~されているのを見る
下記がその例文です。
- I’ve just seen him enter the room.(彼が部屋に入るのを今ちょうど見ました)
- I saw her talking to someone in the town yesterday.(昨日、その町で彼女が誰かと話していたのを見ました)
- I saw my brother hit by a stranger.(私の弟が誰か知らない人に叩かれているのを見ました) ※ここでの「hit」は過去分詞です。
など。
原形不定詞と現在分詞の時の意味の違いは?
何故、目的語の後ろに付ける形が、「I saw him run.(原形不定詞の場合)」と「I saw him running.(現在分詞)」の2つの場合があるのでしょうか?
下記がその違いです。
- 原形不定詞(全部動作)・・・I saw him swim in the river.(彼が川で泳いだのを見ました) ※川に入るところから泳ぎ終わるまで一部始終全部その行為を見たというニュアンスです。
- 現在分詞(一部動作)・・・I saw him swimming in the river.(彼が川で泳いでいたのを見た) ※川で泳いでいたところの一瞬を見たというニュアンスです。いつ泳ぎ始めたのかも終わったのかも分かりません。
どうでしょうか?ニュアンスの違いがありますね。
これは今後もご紹介する他の知覚動詞でも適応されますので、押さえておきましょう。
watch
「watch(ウォッチ)」も「~を見る」という時に使う動詞です。過去形と過去分詞はともに「watched」となります。
「see」との違いは、次の通りです。
- see・・・意識しなくても対象物(目的語)が視界から視界に入るイメージ
- watch・・・動く対象物(目的語)を集中して見るイメージ
「watch」は次の形で表現されることが多いです。
- watch + 人・モノ + 原形不定詞(動詞の原形) ※人・モノが~するのを見る(全部動作)
- watch + 人・モノ + 現在分詞(動詞ing) ※人・モノが~しているのを見る(一部動作)
下記がその例文です。
- I carefully watched my daughter get on the train.(娘が電車に乗るのを注意深く見ました)
- I watched the boy crossing the street.(その少年が道を渡っているのを見ました)
など。
look at
「look(ルック)」も「~を見る」という時に使う動詞です。過去形と過去分詞はともに「looked」となります。
この場合、「look」は動詞句(look at)として使われます。
「自分から意識をしてその方向に目を向ける」というイメージで、「see」や「watch」との違いについても『「見る」の英語|look, see, watchの違いや例文・その他6つの表現』の記事で詳しく解説しています。
また、「look at」の場合は、基本的に「look at + 人・モノ + 現在分詞(動詞ing)」の形をとります。
下記がその例文です。
- I looked at the man lying on the street.(道に横たわっている男性を見ました)
- Don’t look at the people trying to disturb you.(あなたに邪魔をしようとしている人たちを見ないように!)
など。
observe
「observe(オブザーヴ)」も「~を見る・目撃する」という時に使う動詞です。過去形と過去分詞はともに「observe」となります。
「観察する」というニュアンスが強い「見る」となります。
「observe」は次の形で表現されることが多いです。
- observe + 人・モノ + 原形不定詞(動詞の原形) ※人・モノが~するのを見る(全部動作)
- observe + 人・モノ + 現在分詞(動詞ing) ※人・モノが~しているのを見る(一部動作)
下記がその例文です。
- I observed him speak properly to his customers.(彼がお客さんにシッカリと話すところを見ました)
- He observes me reacting to the comments.(彼は私がコメントに反応しているを見ています)
など。
「聞く」の知覚動詞一覧:使い方と形
「聞く」を表現する動詞に「hear」と動詞句の「listen to」があります。
hear
「hear(ヒア)」は「~を聞く」という時に使う動詞です。過去形と過去分詞は「heard(ハード)」となります。
「hear」は次の形で表現されることが多いです。
- hear + 人・モノ + 原形不定詞(動詞の原形) ※人・モノが~するのを聞く(全部動作)
- hear + 人・モノ + 現在分詞(動詞ing) ※人・モノが~しているのを聞く(一部動作)
- hear + 人・モノ + 過去分詞(受動態) ※人・モノが~されているのを聞く
下記がその例文です。
- I heard him pass the exam.(彼が試験に合格したと聞きました)
- I heard the girl crying loudly.(少女が大声で泣いているのが聞こえました)
- I have just heard my name called somewhere.(今どこかで自分の名前が呼ばれるのを聞きました)
など。
listen to
さてもう一つの「listen(リッスン)」も「聞く」という時に使う動詞です。過去形と過去分詞は「listened」になります。
「~を聞く」という場合には「listen to」と動詞句にする必要があります。
「hear」との違いは、次の通りです。
- hear・・・意識しなくても対象物(目的語)が聞こえてくるイメージ
- listen to・・・自分の意志でそれを集中して聞くイメージ
『リスニングとは?ヒヤリングとの違い・発音やスピーキングとの関係』でも解説しています。
また、「listen to」の場合は、基本的に「listen to + 人・モノ + 原形不定詞(動詞の原形)」の形をとることが多いです。
下記がその例文です。
- You should listen to the guy explain about the trip.(彼が旅行の事について説明するのをちゃんと聞くべきです)
- I listened to them talk about their work.(私は彼らが仕事に就いて話すのをシッカリ聞いていました)
など。
因みに「~に聞こえる」の「sound」は知覚動詞には入りません。
「感じる」の知覚動詞一覧:使い方と形
ここでは「感じる」というfeel以外にも、臭い(匂い)や味を感じるという知覚動詞についても触れていきます。
feel
「feel(フィール)」は「~を感じる」という時に使う動詞です。過去形と過去分詞は「felt(フェルト)」となります。
「feel」は次の形で表現されることが多いです。
- feel + 人・モノ + 原形不定詞(動詞の原形) ※人・モノが~するのを感じる(全部動作)
- feel + 人・モノ + 現在分詞(動詞ing) ※人・モノが~しているのを感じる(一部動作)
- feel + 人・モノ + 過去分詞(受動態) ※人・モノが~されているのを感じる
下記がその例文です。
- He felt someone touch his shoulder.(彼が誰かが肩を触ったのを感じた)
- I felt my heart pounding.(心臓がバクバクしているのを感じました)
- I felt my hand hurt a little bit.(少し腕を痛めたのを感じました) ※この場合の「hurt」は過去分詞です。
など。
notice
「notice(ノーティス)」は「~を気付く」という時に使う動詞です。過去形と過去分詞は「noticed」となります。
「notice」は次の形で表現されることが多いです。
- notice + 人・モノ + 原形不定詞(動詞の原形) ※人・モノが~するのを気付く(全部動作)
- notice + 人・モノ + 現在分詞(動詞ing) ※人・モノが~しているのを気付く(一部動作)
下記がその例文です。
- I noticed my client arrive at our office.(顧客が私たちの会社に到着したのに気づいた)
- He noticed her talking bad about him.(彼は彼女が悪口を言っているのに気づいた)
など。
因みに、似たような意味の「find(見つける・感じる)」や「know(知る)」は文法的に知覚動詞には入りませんが、後ろの形は同じように原形不定詞や現在分詞や受動態、または形容詞などの形になります。
「I found it difficult.(それは難しいと感じた」や「Everybody knows him do such a thing.(彼がそんなことをすることはみんな知っています」など。
smell
「smell(スメル)」は「~が臭う・匂う」という時に使う動詞です。過去形と過去分詞は「smelled」となります。
smell + 人・モノ + 現在分詞(動詞ing)の形が一般的です。
下記がその例文です。
- I can smell rice steaming.(米が炊けているのが臭います)
- He smelled his dinner getting ready.(彼は夕食がで準備されている臭いをかぎました)
など。
因みに「~の味がする(味を感じる)」の「taste」は後ろの形が形容詞や名詞などになるため、知覚動詞として捉えられないとする文法書も多いです。
知覚動詞の受動態(受け身)とは?
最後になりますが、知覚動詞を受動態(受け身)をつかって表現することもできます。
つまり、知覚動詞自体が受け身になりますが、基本的には「see」や「hear」のケースがほとんどです。
『英語の「受動態(受け身)」を簡単にマスターする5つの基本』の記事でも解説しています。
全部動作の受け身
下記がその例文です。
- see・・・I was seen to play soccer in the park.(私が公園でサッカーをしたのを見られました)
- hear・・・He was heard to talk to the police officer.(彼が警察と話したのを聞かれました)
何かお気付きになられましたか?
実は、上記は全部動作(原形不定詞)のパターンを受動態にした形で、その場合には「to不定詞(to + 動詞の原形)」を使います。
よって元の英文(能動態)は下記です。
- see・・・They saw me play soccer in the park.
- hear・・・They heard him talk to the police officer.
この場合の主語は「they」や「people」、または誰かに特定しても構いません。
不定詞については、『英語の「不定詞」|3つの用法を簡単に5分でマスターする!』の記事も参考にしてみて下さい。
一部動作の受け身
一方で、これが一部動作(現在分詞)の場合の受動態はどうなるのでしょうか?
つまり次の場合の受動態ですね。
- see・・・They saw me playing soccer in the park.
- hear・・・They heard him talking to the police officer.
下記がその答えです。
- see・・・I was seen playing soccer in the park.(私が公園でサッカーをしていたのを見られました)
- hear・・・He was heard talking to the police officer.(彼が警察と話していたのを聞かれました)
要するに一部動作の場合の受け身は、知覚動詞の後ろに現在分詞(動詞ing)を付けるだけでOKです。
まとめ:知覚動詞の後ろの形に慣れよう!
いかがでしたでしょうか?
ここでご紹介したほとんどの知覚動詞を知っている方も多いはずです。
でも、その後ろの形について少し曖昧に覚えている方も少なくないはずです。
よってここでご紹介したそれぞれの知覚動詞での形のパターン(原形不定詞、現在分詞、過去分詞)に慣れることで英語力もアップしていきます。是非参考にして、英会話にも活かしていきましょう!
因みに、知覚動詞のように後ろが原形不定詞やto不定詞の形をとる、使役動詞(AにBをさせる)というのがあります。
これも英語には欠かせない動詞ばかりであり、時間に余裕がある方は、『英語の使役動詞とは?5表現の基本形やニュアンスの違い・使い分け』の記事を参考にしてみて下さい。