社会人になってから英語をやり直そうと思って、リスニングの勉強から始める人は多いでしょう。
ですが、通勤中や隙間時間を利用して、単純に英語の音声を聞いているだけではリスニング力が全く伸びません。
では、何をやれば効率的にリスニングを習得できるのでしょうか?
目次
社会人が絶対にやってはいけない非効率なリスニング勉強法
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まずは、社会人が英語のリスニング勉強を行う上で無駄な時間を費やさないように、絶対にやってはいけない非効率なリスニング勉強をお伝えします。
英語の音声を聞き流すリスニング
英語のリスニング勉強を行う前に知っておきたいことが、英語のヒアリングではリスニング力は向上しないということです。
ヒアリングとは単に聞こえた英語の音声を耳に入れる聞き流しに近いやり方です。
一方、リスニングというのは、聞こえた英語の音声をしっかり理解することです。
その違いは、英語の音を意識的に聞いているか聞いていないかの違いです。
英語の音を意識せずに聞き流す勉強では、結局のところ、耳から音が素通りしているだけなのです。これでは、言語理解、処理といった脳の働きがなく、ノイズ・雑音の処理になってしまいます。
もちろん、何千回も聞いていれば暗唱できるレベルになるかもしれませんが、限られた時間しか使えない社会人に対しては、実はとても非効率なのです。
したがって、社会人がリスニングの勉強を行う際は、注意力が失われた状態の中で行うようなヒアリング学習は避ける必要があります。
つまり、英語の音を意識的に理解しながら音声処理できる勉強法を行うことが大前提のリスニング勉強法となります。
英語初心者と超上級者はヒアリングでも効果あり
ただし、英語初心者と超上級者はヒアリングでも一定の効果はあります。
英語初心者の場合は、そもそも英語のリズム感や英語特有の音に慣れていません。ですから、その点では一定の効果はあります。
また、英語超上級者も上級者ゆえの効果があります。そもそも、英語の上級者は既に注意深く英語の音を聞き取ろうとしなくても難なく理解できるレベルにあるからです。
これは日本人が運転中に運転をしながら同時に日本語のラジオの内容を理解したり、音楽を楽しめるのと同じです。言語理解レベルが高い場合は、ヒアリングでも効果は得られるということです。
ですので、英語初心者と超上級者の間のレベルの方は、意識的なリスニング勉強法を重視することが重要です。
これを大前提として、次章から社会人の英語のリスニング力を最大効率化させる勉強法を具体的にご紹介していきます。
社会人の英語のリスニング力を最大効率化させる勉強法
社会人が意識的なリスニング勉強を行うには、勉強する素材音声を聞いた時のリスニングの理解度レベルに応じてトレーニング方法を変えていくのが効果的です。
英文を一切見ずに音声のみで聞き取ってみる
(1)英語音声のみでのリスニング
まずは、英文を一切見ずに、英語の音声だけを聴いてみます。その際に聴き流しのようなヒアリング状態にならずに、意識的に音を聞き取ってみましょう。
一度のリスニングでは、理解ができないことが多いかと思いますが、何度か繰り返しリスニングを行っていると、理解レベルは上がっていき、ある段階から何度聞いてもわからない箇所が出てきます。
(2)何度聞いても英語が聞き取れない原因
リスニングで聞き取れない原因は、自分で認識している音と実際の音との乖離であったり、単語と単語が重なって連結音として別の音に聞こえてわからなかったり、知らない単語もしくは知っている単語だけど意味理解するのに時間がかかってしまって、次の音を聞き逃していたりなどいくつもの原因があります。
(3)何度聞いても理解できない状態になったら次のリスニング勉強法へ移行する
そして、音声のみのリスニング勉強で繰り返し聞いても聞き取れない箇所が出てきた状態になった場合は、次のリスニング勉強法に移行することです。
なぜなら、この状態で何度も聞いても、リスニング理解を妨げている原因を解消できないためです。
ですから、次はそれらの原因箇所をつぶす勉強法に切り替えていきます。
英文を読んでから再び音声リスニングを行う
次は、英文をざっくり読んでから再びリスニングを行います。
当然ながら、英文を読んだ後に音声を聞くことで以前よりも大筋がつかめます。たとえ、英語の音声が一言一句と細かく聞けなかったとしても、この段階では英文によるサポートから少しでもリスニング力をアップさせる形で問題ありません。
英文を見ることに抵抗感を感じてはいけない!
この時、今まで英文を見ずにひたすらリスニングの音だけで勉強してきた人にとって、英文を見るという行為は非常に抵抗感があるかもしれません。
ですが、何度聞いても聞き取れない音や意味理解できない音を英文なしで完璧することはできません。むしろ、ある程度聞いてわからない場合は英文を見て次のステップに進んだ方が、忙しい社会人にとっては非常に効率的です。
英文を精読した後、英語のリスニングを行う
前述のトレーニングでは、大筋をつかんでのリスニングでした。
(1)英文を精読する、解読する
ここでは、英文を理解する際に、曖昧な部分も意味理解できるように解読しながら、じっくり意味を理解することに努めます。わからない単語などもわからないままにせずに辞書で調べたり、日本語訳を見るなどして意味がわかるようにします。
(2)再びリスニングを行う
精読後、わからない箇所、曖昧な箇所をなくした上でリスニングを行います。
この段階までいけると、当初の音声のみでのリスニングの時よりも格段に理解できる状態に持っていけていることがご自身でも実感できるかと思います。
音声のみのリスニングがリスニングの勉強ではない!
リスニングの勉強を社会人になってあらためて再開したという人でうまくいっていない人というのは、音声のみで単にリスニングをだらだら行っている人が多く見受けられます。
ですが、リスニングの勉強とは音声のみを取り扱うことではありません。これは大きくリスニング力の差に影響します。
したがって、本当にリスニング力をアップしたい場合は、音声のみでの学習ではなく、ここでご紹介しているような様々な角度から科学的に効果のあるアプローチ法も含めたトレーニングを行うことが大切です。
(3)精読後のリスニングでもまだ聞き取れない場合
精読後のリスニングを行ったとしても、まだ聞き取れない箇所がある、意味がわからない箇所が残る人もいます。
その場合は、さらなるリスニング力の強化をはかる必要であり、最終的には、音読、シャドーイング、リピーティングを組み合わせながらリスニング力を強化していきます。
そこで、次章以降からは各リスニングの勉強法を説明します。ご自身のフィーリングや相性の良いトレーニング、場所や環境によってトレーニング可能なものなどその都度合うものを選んで行いましょう。
音読、リピーティング、シャドーイングによる社会人のためのリスニング勉強法
なぜ、音読はリスニングに効果があるのか?
リピーティング(ある程度まとまった英文を聞き終わってから発音する勉強法)やシャドーイング(英語音声を追いかけて発音していく勉強法)は、リスニング力を伸ばすのにとても効果の高い方法と言われます。
- リピーティング:まとまった英文を聞き終わったら、その英文ごとに発音する方法
- シャドーイング:英語音声の後、一瞬遅れて追いかけながら発音する方法
一方、音読もとてもリスニング力アップに欠かせない効果的な方法です。
では、なぜ、英語の聞き取りをしないような音読もリスニングに効果があるのでしょうか?
もちろん、音読はリスニングをマスターするための全要素を身につけられるわけではありません。ですが、非常に重要な要素を得られるのが音読なのです。
まず、リスニングに必要な能力をざっくり分解すると
リスニング=音声の聞き取り力+聞こえた音を意味理解する力
この2つの要素から成り立ちます。
その中で、音読は後者の「聞こえた音を意味理解する力」を養う上で最も効果の高い方法の一つです。
この意味理解する力についてもさらに分解でき、
聞こえた音を意味理解する力=単語理解+文構造の理解+文の理解、全体把握
という要素に分かれます。
リスニング力を向上させる上で、このような各要素も向上させていく必要があるのですが、音読で得られる要素の中にもこれと同じものがたくさん含まれているのです。
音読のトレーニングをしながら内容を理解していく場合、
- 音読した「音」から単語理解
- 音読した「ある箇所からある箇所までの音」の間に単語や文構造、文の理解、全体把握
- 音読した「最初から最後までの音」の間にストーリー、要点把握
など、音からリスニング力を向上させる要素も得られるのです。
その結果、音読を繰り返し行えば行うほど、英語の音声と意味理解の処理能力がスピードアップし、日本語と同じような無意識レベルにまで高まっていくと英語を英語のまま何不自由なく理解できるようになっていくわけです。
ただし、音読によるリスニング勉強で伸ばしづらい要素もあります。
それは、音声知覚の部分です。
前述で「リスニング=音声の聞き取り力+聞こえた音を意味理解する力」とお伝えしましたが、音声の聞き取り力に関しては、音読トレーニングで日本語に近い発音で音読している人ほど伸ばしづらくなります。
音声の聞き取り力(音の認識力)はやはり英語の音声や発音練習など英語特有の音を聞き取る力として別途トレーニングする必要があります。
その中で具体的におすすめしたいのが、シャドーイングのトレーニングです。こちらは音読によるリスニング勉強法と手順を説明した後にご紹介していきます。
音読、リピーティング、シャドーイングを組み合わせたリスニング勉強法と手順
(1)社会人は繰り返しの勉強が欠如している
まず、大前提として社会人が英語を勉強してもマスターできないのは、同じテキストで勉強した際に、1回の理解で終わってしまっているのが大きな原因です。
英語を実践的に使えるようにするためには、どうしても何回も繰り返して体に落とし込むことが絶対に必須です。
そのためのトレーニングとして効果的な勉強法が英語の音読です。それでは、音読トレーニングの手順を見ていきましょう。
(2)音読の前に英文を100%理解する
いきなり、意味がわからない英文をひたすら音読しても非効率なのはおわかりでしょう。ですから、まずは英文の構造、単語の意味などしっかり理解していきます。
社会人の場合、何となく楽をしようとして日本語訳を見ただけで意味を理解して終わらせてしまいがちです。
ですが、実際に音読のトレーニングを行う際に、自分の発声から英語の音が聞こえて、その後に自然と意味が頭に入っていくような形で読めるように準備しておくことが大切です。
(3)音真似リピーティングによる社会人のリスニング勉強法
英文の意味を理解して準備が整ったら、まずはリピーティングによる音真似を行います。
そもそも、いきなり音読した時に、本来の英語の音声から全くかけ離れた音で音読してもリスニングの音の聞き取りには非効率です。
例えば、全く同じ英文でも発音の音、単語と単語のつながりの音などが実際のネイティブの音声と違っていたら音とイメージがつながりません。
日本人同士が英語で会話すると聞き取りやすく感じますが、現地でネイティブと会話した時に簡単な単語さえ全く聞き取れなかったという経験をした方ならおわかりでしょう。
ですから、音読自体の読み方をネイティブに近い形にしておく必要があります。
そこで、リピーティングによるリスニング力強化を行います。
実際のトレーニング法としては、各英文の塊を再生と停止を繰り返しながらリピーティングしていきます。単純に各英文を聞き終わったら音真似すればOKです。
ここで大事なのは、日本語に近い音や発音ではなく、ネイティブに近い発音に近づけるために英語の発音やイントネーション、リズム自体に意識を向けていきます。
よくわからない人は、シンプルにものまねすることだけを考えましょう。なお、テキストを見る、見ないに関しては、英文や音声の難易度、ご自身の勉強のしやすさなど相性を見ながらやりやすい形にしたり、最終的に音真似が作りやすい方法になっていればOKです。
(4)音真似後は、音とイメージをリンクさせてリピーティングを行う
そして、ある程度、各英文のリピーティングに慣れてきたら、音とイメージをリンクさせてください。
単純な話、英語で発話した時に頭の中に自然にイメージが浮かべられる、その鮮明度が高いほど音から意味理解度が高い、リスニングスキルが高いということになります。
あとは各英文でこの状態になるように繰り返しリピーティングを行います。
なお、リピーティングに慣れていない方は、最初のうちは英語の音声スピードが速く感じないものを使ってみてください。
(5)音読による社会人のリスニング勉強法
次は、音読によるリスニング勉強法です。
上記で各英文のリピーティングができるようになっていればとても簡単ですね。
音読のやり方は、さきほどリピーティングを行った英文を使って、同じように音真似する感覚で発音しながら音読を繰り返します。最終的には、音真似しながら同時に英文の意味やイメージが頭の中に浮かんでくる状態に持っていくことです。
個人差はありますが、音読は10回~50回程度やってみましょう。おそらく、最初の5回,10回くらいは音に意識がいってしまい、意味理解やイメージの想起が難しいかと思います。
10回、20回と音読していく頃に、音の意識が無意識的になり、意味理解やイメージ想起に意識がいくようになり、最終的には音にも意味にも日本語と同じ感覚で読んで理解している状態に持っていってください。
注意点としては、どんどん先に進もうとして一つ一つを中途半端にしてしまうことです。そうなると、弱点の部分ばかりを結果的にスルーすることになっていくため、リスニング力向上に伸び悩みが出てきます。焦らずに丁寧に進めていきましょう。
(6)最後はシャドーイングでリスニング強化
最後はシャドーイングによるリスニング勉強法です。
シャドーイングとは、英語音声を追いかけながら聞こえてきた音をそのまま口にする方法です。聞こえた音を同じ発音、リズムですぐに口から発音します。
元々は、プロの通訳者を目指す人がよく行うトレーニング方法として知られていますし、一般の英語学習者にも効果的だとよく言われます。
リスニング力を向上させる理由は、シャドーイングしていく過程で音をそのままの音としてとらえ、かつすぐに次々にそのままの音で発音していくことで本来の英語の音への認識力を耳と自分の口から出すことによって体化しながら行っているからです。
もちろん、音を再現できる場合でも単語の意味や文の構造などわからなければ意味理解まではできませんが、上述した
リスニング=音声の聞き取り力+聞こえた音を意味理解する力
この前者の「音声の聞き取り力」の方を格段に鍛えることができます。
そして、前述した音読のトレーニングで後者の「聞こえた音を意味理解する力」を補うことで、総合的にリスニング力を高めることができるというわけです。
(7)シャドーイングによる社会人のリスニング勉強法
最後は、流れてくる英語の音声に沿って、影のように後を追いかけながらシャドーイングしていきます。
その際、英語の発音、イントネーション、リズム、抑揚にも注意しながら、相手に伝わる声の大きさで発声し、さらには自分の声を録音しながら弱点箇所を確認していくと、より効果的なリスニング学習を行うことができます。
以上、社会人のために最も効果的なリスニング勉強法をお伝えしました。音読、リピーティング、シャドーイングはどれもリスニング学習者にとって多くのメリットがあります。ぜひ、これらの勉強法を取り入れてリスニングを上達させて下さい。
次章からは、忙しい社会人のために隙間時間でも上記リスニング勉強法を取り入れられる方法を利用別などにご紹介します。
隙間時間や利用シーンに合わせた社会人のためのリスニング勉強法
日々の英語学習が継続できない人は多いのではないでしょうか。そんな人は、各利用シーンや場所、環境に応じて一つの勉強に絞ることです。
例えば、在宅ワークでの仕事は自分の机でやる。夜の英語学習はダイニングテーブルでやる、通勤中の電車の中はアプリで英語学習する、昼休みにはカフェに行って読書するというように、利用シーンや場所に合わせて、一つの事を絞り、シンプルな学習を心掛けることです。
ここでは、第1章でご紹介したリスニング勉強法から日常生活の中の隙間時間や利用シーンに落とし込んでいきます。
通勤(電車・バス・車)など移動中のリスニング勉強
通勤中などの移動中には、この(1)~(4)の手順でリスニングの勉強を行います。
(1)英語音声のみで意識的なリスニングを行う
英語音声のみで意識的に英語音声のみを繰り返し聞きます。繰り返し聞いていくと、やがて理解できる部分と理解できない部分に分かれますので、その時点で次に進みます。
(2)英文を読んでから再び音声リスニングを行う
次は、英語の音声を繰り返し聞いても理解できなかった部分を潰していくために、実際の英文の文字を見たり、読んだりしながら理解した後に、再びリスニングを行います。
(3)英文を精読して、英語の音声を理解できるレベルにする
上記で英語を読んでからリスニングを行ってもまだ理解できない部分が出てきます。その部分が英語リスニングの弱点の箇所です。一番の弱点箇所を潰していくためにも、今度は精読を行います。
この精読によって、しっかりと脳に英語の文字と音をリンクさせていくことです。それを終えたら、再びリスニングを行います。
(4)その後は、声を出さずにシャドーイングする
最後の仕上げとして、シャドーイングを行います。ただし、通勤中で声が出せない場所ですので、心の中や口の中だけでシャドーイングを行います。
ここでも、リズム、音感、英語舌、意味理解、音とイメージをリンクさせたりして、英語の音から英語のまま意味が理解できない部分を潰します。
以上のリスニングの勉強法を行い、その英語音声素材が理解できるようになったら、再び、(1)~(4)のトレーニングを別の英語素材で行います。
なお、トレーニングの順番はどれから始めても構いませんが、最終的に英語音声のみのリスニングから意味がわかるレベルにしておくことです。絶対に単なる聞き流しでやめないようにしましょう。
カフェなどで行う社会人のためのリスニング勉強法
次は、カフェなど机と椅子に座れる所で隙間時間に行える社会人のためのリスニング勉強法をご紹介します。
(1)移動中と同じリスニングの勉強を行う
まずは、色々な勉強法をやってしまうと挫折する人は、上記で紹介した移動中に行える勉強法をそのままシンプルに継続することです。飽きた場合に、下記の勉強法に移行して、気分転換しましょう。
(2)ディクテーションによる社会人のためのリスニング勉強法
次は、英語習得に科学的にも非常に効果の高いディクテーションによるリスニングの勉強法です。
ディクテーションと効果
ディクテーション(Dictation)とは、英語の音声を聞いて、一言一句を書き取っていくトレーニング方法です。
リスニングに関する英語初心者には少し難易度が高いかもしれませんが、書き取りを完成させるまでに何度も音声を聞くため、リスニング能力が向上します。
そして、何度聞いてもわからない部分が見えてくることで自分がどのような英語音声や音と音のつながりに弱点があるかがわかります。
そして、弱点がどんどん潰されていく過程で英語の分析力、推測力、予測力、英語を英語のまま意味理解できる力が身に付き、結果として話す能力であるアウトプット力の向上につながります。
ディクテーションのトレーニング方法
- 手順1.音声全文をリスニングする:まずはスクリプトを見ずに英語の音声を通しで聞きます。
- 手順2.1文ごとに音声を止めながら書き取り作業を行う:次は、1文ごとに音声を止めながら、聞こえた英語の音を書き取っていきます。書き取る際のコツは、音自体に集中し、そのままの音で書き取っていくことです。
- 手順3.英語の音声で書き取ったものをチェックする:この後、スクリプトで答え合わせをしたいところですが、音声から書き取った英文をチェックしていきます。そうすることで、音と文字との乖離、英語の音に対する自分の弱点はどこなのかが見えてきます。
- 手順4.スクリプトで書き取った英文をチェックする:最後に、スクリプトを見ながら自分が書き取った英文が正しいかどうかをチェックします。ここでも英語のリスニングで何が自分の弱点、苦手としているのかを見ていくことです。
この一連のトレーニングを繰り返すことで、英語のリスニング理解に対する乖離がなくなっていきます。
夜や休日のまとまった時間で学ぶ社会人のリスニング勉強法
隙間時間や移動時間以外に、夜や休日などの時間を利用することでリスニングの勉強のためにまとまった時間を取れる日もあると思います。
ここでは、まとまった時間で出来る社会人のための効果的なリスニング勉強法をご紹介します(基本的には効果的なリスニングのトレーニング法は既にご紹介していますのでそれらの中からピックアップした形になります)。
声を出すタイプのリスニング勉強法
(1)リピーティングでリスニングを勉強する
まとまった時間でかつ自宅など声に出して勉強できる場合は、リピーティングでリスニングを勉強することをおすすめします。
手順は上述しているとおりで、簡単にお伝えすると、
- 手順1.各英文の塊ごとに再生と停止を繰り返し、リピーティングする:色々難しく考えると挫折してしまいますので、まずは単純に各英文の塊ごとに聞いて、それを音真似することです。音真似またはモノマネすることだけを考えていれば、そのこと自体が音声の発音やイントネーション、リズムを意識的に考える作業につながります。テキストを見るか見ないか迷うと思いますが、最終的に音真似できる状態になればOKです。音真似できる状態になれば、その音がどんな単語や英文かを最終確認しましょう。
- 手順2.音とイメージをリンクさせてリピーティングする:音のみに集中したリピーティングを行いました。次に行いたいのが、音の先にあるイメージをつなげる作業です。ここでの目的は、英語で発話された音を耳にした時に、頭の中にイメージが想起できる状態を作れるようになることです。音からイメージ想起する鮮明度が高ければ高いほど、リスニング力のレベルは高まります。速いスピードでやってしまうと次々意味を浮かべるのが難しいため、最初のうちはゆっくりと塊の英文を発音しながら、発音している間にイメージを想起させてみてください。英文ごとにうまくできたら次の英文、または次の英文へと移行し、リピーティングをマスターした英文をどんどん増やしましょう。コツとしては、ゆっくりリピーティングしている最中になるべく息を切らさない、単語単語で途切れさせないで一区切りまで止めずに、でもゆっくり行うことです。
上記は個人差もあると思いますので、ご自身でもコツというもの楽しく見つけてみてください。
(2)音読でリスニング力を強化する
もう一つの声に出す方法は、音読です。
リピーティングを完了した英文を音読する
リピーティングが完了した英文を使って、音真似感覚で音読を繰り返します。最終的には、音読でも、音と同時に頭の中にイメージが想起できる状態になることです。
音読は10回~50回程度はやってみましょう。
回数をこなす理由は、10回程度だけだと、音だけに意識がいってしまいがちで、回数を重ねないと意味理解やイメージの想起できる状態へ到達できないからです。
ですので、何度も音読を繰り返すことで音読していて、英語を英語のまま無意識でイメージが浮かんで理解できている状態に持っていきましょう。
このレベルに到達していくことこそが、リスニングの弱点克服につながり、リスニング力の圧倒的な向上につながります。
(3)シャドーイングでリスニング力を強化する
そして、最後の方法がシャドーイングです。
流れてくる英語の音声に沿って、影のように後を追いかけながらシャドーイングしていきます。
英語の発音、イントネーション、リズム、抑揚に注意しながら、通常の会話と同じ声の大きさで発声します。
自分の声を録音しながら弱点箇所を確認できればより効果的にリスニング力を鍛えることができます。
書くタイプのリスニング勉強法
まとまった時間で書くタイプでリスニングを勉強したい場合は、ディクテーションによる勉強がおすすめです。トレーニング方法は下記のとおりです。
- スクリプトを見ずに英語の音声を通しで聞く
- 1文ごとに音声を止めながら書き取り作業を行う:書き取るコツは、モノマネしようとする時の感覚で音だけに集中して書き取ることです。
- 書き取ったものを「音声」からチェックする:書き取ったものは、最初は英文ではなく音声から答え合わせします。音と文字との乖離、英語の音に対する自分の弱点はどこかを見ていくためです。
- 書き取ったものを「英文」からチェックする:最後は、英文のスクリプトから書き取った英文が正しいかどうかをチェックします。ここでも、ご自身の聞き取れない音声や勘違いして聞き取っている音声が何なのかを見ていくことでリスニングの弱点箇所を消していくことです。
以上が、まとまった時間で行うリスニング勉強法となります。
社会人が英語の勉強でやる気を出すコツ、続けるコツ、集中力を維持するコツ
ここまで社会人に効果的なリスニング勉強法をご紹介しましたが、リスニング力も継続して学習できないと効果が出ません。
そこで、ここでは英語の勉強でやる気を出すコツ、続けるコツ、集中を維持するコツをご紹介します。
60分の勉強よりも15分3セットの勉強が効果的
記憶に関する書籍でも有名な東京大学の池谷裕二教授によると、1時間通して勉強するパターンよりも、45分を3セットに分けて勉強するパターンの方が学習効果は高いという結果でした。
この実験結果では、40分経過後から特に集中力に関与していると考えられているガンマ波が低下する傾向が見受けられ、15分3セットの学習の方が休憩を挟むことにより集中力のパワーが回復し、学習効果を発揮していたのです。
普段、時間がなくて忙しい社会人や隙間時間を中心に英語の勉強をしている社会人の方は、このような15分学習を積み重ねていきましょう。
社会人は集中力の高い時間帯で勉強する
1日の中で最も集中力の高い時間帯は起床から2~3時間と言われます。
睡眠中に脳が整理されて、起きた時には脳の疲れが1日の中で一番取れている状況ですので脳内がクリアな状態になっています。
この時間帯に英語の勉強時間を当てることです。
特に社会人の場合は通勤中という方も多いので、朝の通勤時間帯にリスニングの勉強を行うことで効率を高めていきましょう。注意点としては、起床後、TVで朝の情報番組など見て、クリアな脳にムダな情報を大量にインプットさせないことです。
社会人はやる気で勉強しない
英語の勉強を始めようとしても、なかなかやる気が出ない日もあるでしょう。やる気によって勉強するかを決めてしまうと、3日坊主になり、最終的に挫折します。
社会人はやる気で勉強しないことです。
「そうは言っても、やる気ない日は勉強する気になれないよ」
この考え方のままだと、どんな事も同じですので、逆転の発想で考えていきましょう。
その方法として、最初にやる気から入るのではなく、一瞬やってからやる気を考えることです。
例えば、仕事にしても家の掃除にしても、一旦やり始めると必要以上に熱心に取り組んでしまったことはありませんか?
これは「作業興奮」と心理学では言われていて、脳の側坐核(そくざかく)という部位が活動すると、作業興奮が起こり、やる気が出た気分になるそうです。
本業がある社会人ほど、緊急性のない自分にとって将来重要な人生のタスクほど、この脳の作用や心理作用を利用することが極めて重要です。
これを踏まえ、やる気のことは考えずに、まずは一瞬だけ始めることを心掛けましょう。
社会人はタイマーで勉強する
制限時間を設けると、ノルアドレナリンが分泌されます。
ノルアドレナリンとは、副腎髄質や交感神経末端から分泌されるホルモンで分泌されることで、集中力や記憶力が高まり、パフォーマンスが向上します。
このノルアドレナリンを活用する際は、キッチンタイマーや砂時計などを使ってカウントダウンしながら勉強してみてください。
社会人は寝る前の15分~2時間を英語の勉強に当てる
寝る前の1~2時間は、脳科学的に記憶の質を高められ、学習効果の高い時間帯だと言われています。
ただし、しっかりした睡眠が必須であり、寝ている間も脳の中で記憶に働きかけが起こっていますので、最低6時間以上は寝ることをセットにしましょう
社会人は場所でリスニングのメニューを決める
社会人が英語の勉強を続けるコツとして、「場所」によって英語の勉強メニューを決めることが大切です。
例えば、カフェに入ったら英語のディクテーションを行う。通勤中は心の中でシャドーイングを行うというように、この場所この状況になったらこれをやるということを固定化しておくことです。
単純に、カフェに入ってからまたは通勤の際に「よし、英語の勉強をしよう」と思ったとしても、次の思考で「じゃあ、何から始めようか」と英語の勉強の最初の一歩に対して、ハードルが上がるのです。
すでに習慣化されていればハードルが上がっていても続けられますし、簡単に行動できるのですが、多くの人は習慣化できていません。
ですので、ハードルを下げて、パブロフの犬状態のような感覚で具体的にこの場所ではこれをやるということをセットにして、勝手に脳に浮かんでしまうところまでもっていくことです。
そうすると、思考よりも身体が先に動くようになり、結果として英語の勉強を続けやすい体質を維持できます。
社会人は勉強の目標を最も低く設定する
英語のリスニング勉強において何をやるか決まったら、あとはそのトレーニングをやるだけになります。
しかしながら、ここで問題なのが、いざ勉強しようとしても、何か言い訳を作ったり、面倒に感じたり、やる気が出ないから後回しにしたり、怠けグセが出ることです。
この原因は、これからやる勉強の行動自体のハードルが高いためです。
そのためにも「毎日夜寝る前に英語の勉強をする」といった抽象的で曖昧な目標の立て方は絶対にNGです。
さらにそこから何歩も後退した、最初の一歩の最も低い行動目標に変換するべきなのです。
例えば、
- 英語の勉強する部屋の電気をポチっとつける
- 机の上にイヤホンをポンっと置く
- 椅子に1秒だけヨイショっと座ってみる
- 英語のリスニングの再生ボタンだけピッと押してみる
など、ある意味バカげたように感じるかもしれませんが、最も低くかつ絶対できそうな行動にまで落とし込んで見ることです。
この行動に加え、上述で説明した「作業興奮」も起こり、大目標で立てた「毎日夜寝る前に英語の勉強をする」が結果的に達成できていることにつながります。
まとめ:英語のリスニングは場所とメニューと最も低い行動目標をセットにして勉強する
いかがでしたか?
仕事などで限られた時間しか使えない社会人に向けて、英語のリスニング勉強法をご紹介しました。
ここで重要なのは、どの場所ではどのリスニングの勉強法を行うのかを決め、その最初の一歩目を最も低い行動目標に落とし込み、続けるコツと集中力のコツを活用していくことです。
ぜひ、これからのあなたのリスニング力向上にお役立てください。