「英語の倒置がわからない!」と困っていませんか?
主語や動詞の位置が入れ替わる倒置は、語順が崩れてしまうので苦手な人も多いですよね。
しかし、倒置はネイティブたちもよく使いますし、センター試験など大学入試でもよく出題されるポイントです。
副詞や助動詞、目的語の位置など基本的なことを押さえるだけでとても使える英文法なのが分かります。
全ての倒置法をここでご紹介するのは難しいのですが、よくつかう例文などを使いながらご紹介します。
それと、人工知能(AI)チャットのChat GPTやGeminiを使った英語の倒置の勉強方法も紹介していますので、参考にしてみて下さい。
目次
英語の倒置(倒置法)とは?
※このページには広告が含まれています。
英語の倒置は、文法のテクニックのひとつです。
文中の主語と動詞を入れ替えたり、真逆にすることで、伝えたいことを強調します。
あえて、普通の語順と違う並びにすることで、「普通とは違う」ということを相手に伝えます。
感嘆文などの感情の高まりを伝える表現でも、この倒置を使います。感嘆文に関しては後ほど解説いたします。
基本的には、強調や感情の高まりを伝える場面で使いますが、一部、強調ではなく単に文法上のルールで倒置が起こるものもあります。
例えば、助動詞のDo(疑問文などの場合は助動詞的役割)やwillなどを疑問文の時に文頭に置いたりしますが、これも文法のルールで決まっている倒置です。
【例文】
- Do you have time this afternoon?
- Will you go there today?
この場合は、文頭に副詞がある倒置だからといって、特に強調の意味はありません。
「There is(are) ~.」の構文も倒置!?
英語でよく使う「~がある」という意味「のThere is(are) ~.」構文ですが、実はこれも倒置のひとつです。
ただし、「There is(are) ~.」の文は、「there」を強調するために倒置しているわけではありません。
倒置法の基本ルールと見分け方・例文
先ずは基本的なルール、そしてパターンをみてみましょう。
基本ルールと例文
英語の倒置は基本的なルールをおさえれば、簡単に作ることができます。
そのルールとは、先ほどもお伝えしていますが、「強調したいものを文頭にして、語順(主語と動詞など)を入れ替える」というものです。
倒置の文では、強調したいものを文頭に置くのが基本です。
倒置の基本文を例文で見てみましょう。
【例文】
- 通常の形:The bus comes here.(バスが来た)
- 倒置の形:Here comes the bus.
通常の文の強調したい部分「here」を前にだし、主語の「the bus」と動詞の「comes」を入れ替えると例文の形になります。
※「Here comes ~.」は、大学入試やセンター試験でもよく出てくる倒置のお決まりの形なので、覚えておきましょう。
強調の倒置パターン:副詞や前置詞・補語・目的語・否定
強調の倒置は4つのパターンがあります。
「副詞や前置詞」、「補語」、「目的語」、「(副詞を含む)否定」です。
それぞれの例文などをみてみましょう!
「副詞や前置詞」を強調する倒置
「down」や「up」など運動の方向を表す副詞や、 「here」や「there」など場所を表す副詞を強調する倒置です。
先ほどの「Here comes the bus.」がその例文となります。
前置詞を使った場所を示す「at the park」なども倒置の対象となります。
【例文】
- その1.Here comes Yuko.(ユウコが来た)
- その2.Up came the ball.(ボールが上がってきた)
- その3.At the park stands a big tree.(大きな木が公園にあります)
しかし、主語が代名詞(YouやSheなど)の場合は、強調したい副詞を前に置くだけで主語と動詞は倒置しません。「Here she comes.」などがそれにあたります。
「補語」を強調する倒置
「補語」とは、第2文型のSVCの「C」にあたる部分です。
文型については、『英語の5文型(語順)の見分け方・例文と簡単マスター勉強法』の記事もご参考下さい。
「S(主語)」が「C(補語)」であるという構文になります。
例えば、「Kenta is so young.(ケンタはとても若い)」や「The view is amazing.(その景色は素晴らしい」の「young」と「amazing」に当たる部分です。
これらのような文を倒置すると下記のような例文になります。
【例文】
- その1.So young is Kenta.
- その2.Amazing is the view.
などとなります。
「目的語」を強調する倒置
「目的語」とは、第三文型のSVOの「O(~を)」にあたる部分です。
例えば、「I have time.(時間があります・時間を持っています)」や「Mika drives a car.(ミカは車を運転します)」の「time」や「a car」にあたる部分が「O(目的語)」になります。
先ほどの補語と同様に、文型については、『英語の5文型(語順)の見分け方・例文と簡単マスター勉強法』の記事もご参考下さい。
また、この「目的語の倒置」については特別なルールがあるため、後ほど詳しく解説します。
副詞を含む「否定」を強調する倒置
否定を表す副詞(句)を含む倒置は、目的語と同じように特別なルールがあるため、下記にて別途詳しく解説しています。
それではおの特別ルールを次の章で確認してみましょう。
特別ルールとは?「目的語」と「否定の副詞」の倒置
倒置の文の中で、注意しなければいけないのが目的語を強調する倒置文と「never」や「only」など否定的な表現を含む倒置文です。
それぞれ、特別ルールが適用されます。
特別ルールその1.「目的語」を強調する倒置
目的語を強調する文の場合、目的語を文頭に置きますが、主語と動詞は倒置せずそのままです。
例えば、「I said that.」を強調する場合は「That I said.」などとなります。
ただし、この後に解説しますが、「否定が目的語になっている場合」では多少異なります。
特別ルールその2.「否定」を強調する倒置
否定の表現を含む倒置文では、強調をすべき副詞の「never」や「only」を文頭に置くのは同じなのですが、その後ろが少し違います。
「no(not)」や「never」、「only」など否定の表現を含む倒置の文では、疑問文のように助動詞の「do/does/did」や「have/has/had」などを、主語の前に置きます。
更に、下記が主な細かな決まりとなります。
- その1.文頭の副詞(否定を含む表現)の後(副詞+助動詞の後)は、疑問文と同じように「主語+動詞の順」になります。
- その2.「do/does/did」を使う場合、普通の疑問文と同じように「動詞は原型」になります。
- その3.「have/has/had」を使った現在完了形(過去完了形)の倒置文は後ろに来る「動詞は過去分詞形」となります。
「never」を使った例文を見てみましょう。
「現在の否定文」を強調したい場合
【例文】
Never does he do such a thing. /彼はそんなこと絶対にしない。
【解説】
通常の形は「He never does such a thing.」です。
強調したい否定を表す副詞の「never」を文頭に置き、助動詞「does」をその次にもってきてきています。※主語が「I」や「You」の場合は、助動詞「do」を使います。
その後は、「主語+動詞」の形です。
動詞は、原形の「do」です。
「過去の否定文」を強調したい場合
【例文】
Never did I dream that I would win the Nobel Prize. /ノーベル賞を取るなんて、夢にも思わなかった。
【解説】
通常の形は「I never dreamed that I would win the Nobel Prize. 」です。
過去形の文なので、「did」を主語の前に置き、過去形の「dreamed」を原形の「dream」の形にしています。
センター試験など大学入試では、この否定の形の倒置文もよく出題されます。
「現在完了形の否定文」を強調したい場合
【例文】
Never have I thought about such a thing. /そんなこと考えたこともなかった。
【解説】
通常の形は「I have never thought about such a thing.」です。
強調したい否定を表す副詞の「never」を文頭に置き、助動詞「have」をその次にもってきてきています。※「過去完了」の場合は、助動詞「had」を使います。
その後は、「主語+動詞」の形です。
動詞は、過去分詞形の「thought」です。
倒置法の特別ルールの例文集
ここではよく使われる「否定表現の副詞」や「目的語」の否定の例文などをご紹介します。
上記の例文で使った「never」以外の、英語のテストや資格問題、また英語の色々な文章など文語的にも頻繁に出てくるものを厳選していますので、是非ご参考下さい。
また、否定表現は「Not a single word」などもあり「never」のように「一語」とは限りません。
例えば「no sooner」や「not until」なども否定の倒置でよく使う表現です。
それぞれを見てみましょう!
「no sooner」を使った倒置法
「no sooner ~ than ―.」の構文の倒置法です。
【例文】
- 通常文:I had no sooner arrived at home than the phone rang.
- 倒置文:No sooner had I arrived at home than the phone rang.
- 日本語:家に着くなり電話が鳴りました。
【解説】
「No sooner」の後ろは「had(過去完了)」の副詞と過去分詞が来て、「than」の後ろの動詞は過去形となります。
「not a single word」を使った倒置法
【例文】
- 通常文:She did not say a single word.
- 倒置文:Not a single word did she say.
- 日本語:彼女は一言も話さなかった。
【解説】
よく例文として他の参考書などでも使われる形です。
否定の副詞の後ろが過去形で、主語の後ろの動詞は原形となります。
「not until」を使った倒置法
「It is not until ~ that ―.(~まで、ーではない/~で、初めてーする)という構文です。
【例文】
- 通常文:It was not until this morning that I found the truth.
- 倒置文:Not until this morning did I find the truth.
- 日本語:今朝まで真実が分からなかった
【解説】
通常文の「that」を省略して、副詞+主語+動詞の原形という形となっています。
「only when ~」や「hardly ~ when ―.」の構文も同じような形になります。
「little」を使った倒置法
「まったく~ない」という「little」を使った倒置の例となります。
【例文】
- 通常文:He little knew the fact.
- 倒置文:Little did he know the fact.
- 日本語:彼はその事実を全く知らなかった。
【解説】
否定の副詞を文頭にもってきて、副詞+主語+動詞の原形となります。
「only」を使た倒置法
「only」は否定ではなさそうですが、文の中で使われるときは「~だけしかーない」という否定の副詞として捉えることもできます。
【例文】
- 通常文:I only play baseball.
- 倒置文:Only do I play baseball.
- 日本語:私は野球だけします。
【解説】
会話でも使える「only」の倒置法なので是非しっかりマスターしましょう!
副詞+主語+動詞の原形の形です。
「仮定法過去など(If構文)」の倒置法
「もし~だったら」というifを使った「仮定法」の文は、「if」を使わない倒置の文に書き換えることができます。
倒置の文では「if」がなくなりますが、同じ「もし~だったら」という意味になります。
尚、この場合は、文法上のルールで倒置するため強調にはなりません。
また、仮定法も仮定法過去以外にも、仮定法過去完了、仮定法未来など色々なものがあります。『英語の仮定法|すぐにマスターできる簡単な2つの基本ルール』も参考にしてみて下さい。
「Should you have any questions,~.(もし質問があるなら、~)」の「Should」などの倒置もご紹介しています。
ここでは仮定法過去の倒置法をみてみましょう。
仮定法過去とは?
倒置の例を見る前に、ifを使った仮定法過去について簡単におさらいしましょう。
仮定法過去の文は、ifを使って現実には起きないこと、無理なことを「もし~だったら」と仮定して話す文です。
仮定法過去の例文でよく出てくる文を見てみましょう。
【例文】
- 英語:If I were a bird, I would fly to you.
- 日本語:もし私が鳥だったら、あなたのもとに飛んで行くのに。
この文でも「私」は人間なので、鳥ではなく飛べることができないという前提で、「もし鳥だったら」と仮定しています。
仮定法過去を倒置に書き換える方法
Ifの仮定法過去の文を、倒置の文に書き換えるのは簡単です。
書き換えのルールは下記の2つです。
- ifを消す
- 主語と動詞を入れ替えて、疑問文と同じ形にする
これだけです。
例文で確認してみましょう。
【例文】
- 通常のif構文:If you were here, I could ask you to help. /もしあなたがここにいたら、手伝ってもらえたのに。
- 倒置文:Were you here, I could ask you to help.
通常の仮定法過去の文の「if」を消して、主語の「you」とbe動詞の「were」を倒置します。その後ろは、変化せずそのままの形です。
疑問文と似た形ですが、この文にはクエスチョンマークがありません。
大学入試や英語資格の問題でもこの形はよくでてきます。
クエスチョンマークがないのに、動詞が文頭に来ている文が出てきた場合、仮定法過去の文である可能性が高いです。
その他にもある!倒置文
仮定法過去の倒置文や、「There is(are)~.」のように、慣例的に倒置が使われている文がこのほかにもあります。
昔から倒置の形で使われていたものが、そのまま現在でも使われていて文法のルールになっているものです。
仮定法過去の倒置文とThere is~構文以外の、慣例的に使われる倒置文は2つです。
その他の倒置「感嘆文」
感嘆文は「how」や「what」を文頭に置いて、そのあとに続く副詞や形容詞と名詞を強調する文です。
感嘆文の訳は「なんて~なんだ」です。
感嘆文の基本の形は下記となります。
しかし、主語と動詞の語順は変わりません。
- 「What a」+「形容詞/副詞」+「名詞」+「主語」+「動詞」
- 「How」+「形容詞/副詞」+「主語」+「動詞」
「What a~」の文の場合、形容詞や副詞がない場合もあります。
【例文】
- その1.How tall you are. /あなたはなんて背が高いのでしょう
- その2.What a beautiful picture that is. /なんて美しい絵でしょう
感嘆文については、『2つある!感嘆文の作り方|HowやWhatへの書き換え方法と例文』の記事を参考にしてみて下さい。
その他の倒置「直接話法」
「彼が『○○』と言った」というように、誰かが話したことをそのまま伝える直接話法も倒置を使う場合があります。
日本語でも「彼が『○○』と言った」という文を、小説などでは「『○○』と彼が言った」とすることがありますよね。それと似たような感覚です。
直接話法の倒置は、言ったことを前に持ってきて、後ろの主語と動詞を入れ替えるだけです。
例文を確認しましょう。
【例文】
- 英語:“I have to go”, said Kenta. ※「Kenta」が代名詞の「he」であれば、倒置はせずに「he said.」となります。
- 日本語:私は行かなければならない、とケンタは言いました。
この文は倒置をせず、Kenta said, “I have to go.” でも、文法的には問題ありません。
その他の倒置「同意」
「私もそうです」など、相手の発言に同意する場合も倒置を使います。
「So am I.」などがその1つです。動詞と主語が倒置しておりますが、これは疑問文ではありません。
また、相手が発言した動詞と時制に合わせて倒置するのが基本ルールです。
例文を見てみましょう。
- その1.相手「I am full.(私はお腹いっぱいです)」 → あなた「So am I.(私もそうです)」 ※相手が「be動詞」の英文だったので、あなたも「be動詞」の「am」を使っています。現在形という時制も統一します。
- その2.相手「I studied hard for the exam.(テスト勉強を一生懸命しました。)」 → あなた「So did I.」 ※相手が「一般動詞の過去形」だったので、あなたも一般動詞(do)の過去形の「did」を使っています。
Chat GPTやGeminiなどのAI(人工知能)チャットサービスを使って英語の倒置をマスターしよう!
しっかりと英語の倒置を覚えて使いこなせるようにあるのに、人工知能(AI)のチャットサービスもおすすめです。
例えば、次のようなプロンプト(命令文)を入力するだけで、クイズのようなトレーニング問題などをどんどん作ってくれます。
- 「英語初心者で英語の倒置が苦手です。やさしい問題を20個とその解説を下さい。」
- 「仮定法の倒置がいまいちわかりません。英語初心者にもわかるような解説と例文を下さい。できれば英会話に使われるような例文がいいです。」
など。
まさしく、会話をしながらお願いする感覚でOKです。
この人工知能(AI)のチャットサービスにより、このような確認やトレーニングが容易に可能になっています。この機会に試して下さい。
また、AIチャットサービスで有名なのが2つあります。
一つは「Chat GPT」です。OpenAIが2022年11月に公開した人工知能チャットボットであり、生成AIの一種で、無料版と有料版がありますが、確認やトレーニングは無料版で十分です。
また、もう一つはGoogleが提供する「Gemini」です。
Chat GPT、Geminiのどちらも素晴らしい機能を提供しており、自分に合ったチャットサービスをご活用下さい。アプリもあるので気軽にスマホやタブレットでも使えます。
まとめ:倒置法の見分け方は簡単!
否定の表現を含む倒置文など、倒置はネイティブスピーカーもとてもよく使う表現です。
倒置が使えると伝えたいことを強調できるので、より細かいニュアンスを伝えることができます。
強調したい表現を文頭に持ってきて、主語と動詞を入れ替えるというのが、倒置の基本の形です。
テストの問題などで、疑問文ではないのに、主語と動詞が入れ替わっている文や文の頭に主語以外の英語が出てきたら、倒置かもと疑ってみましょう。
コメント